現役タクシードライバーが明かす「カスハラ客」に遭遇しやすい「意外な場所」と「時間帯」
「とりあえず早く車出せ!」「チンタラ走ってんな」、そんな乗客の理不尽な要求に頭を悩ませていたタクシードライバーたち。 【写真】2社から計4700万円を勝ち取った“モンスター社員”の「ヤバすぎる戦術」 前編記事〈「とりあえず早く車出せ!」「チンタラ走ってんな」タクシードライバーを苦しめる「カスハラ客」へ業界が始めた「対策」〉で紹介したように、業界が重い腰をあげ対応方針を示す中で、注目したいのは「カスハラ客」の実像だ。彼らはどんな場所や時間帯に出没するのか? なぜカスハラは減らないのか? 筆者の現役タクシードライバーとしての経験をふまえて考えた。
犯罪に発展することもある「カスハラ行為」
カスハラ客に遭遇しやすい地域や時間がある。 これはあくまでも筆者の私見だが、勝ち組の傲慢さか、処理しきれないストレスを抱えているせいかわからないが、富裕層の住む地区(特に高層マンション)や朝夕の出勤時間にカスハラ客に当たる確率は高くなる。 特に深夜帯はカスハラ客に高確率で当たる。言ってみれば、カスハラの半分以上は泥酔者によるものだ。酔っ払いはタチが悪い。何せ話が通じないからだ。 稀に著名人が起こした事件としてメディアに取り上げられることがあるが、「酔っていて記憶にない」などまるで他人事のような弁明をしている。しかし、酔っ払いだから許されるわけではない。 前編記事でお伝えしたエピソードも、制限速度や赤信号を無視する指示、金品の要求など、もはやカスハラ案件ではなく犯罪だ。また、カスハラ行為がエスカレートして暴言が暴力につながり、取り返しのつかないことに発展することもある。 「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな」の標語は、運転者だけではなくタクシーに乗ろうとする酒癖の悪い人にも当てはまる。人生を台無しにしないためにも守った方が良さそうだ。
誰もが「カスハラ」の加害者になりうる
散々メディアで取り上げられているにもかかわらず、なかなか減らないカスハラ。なぜ減らないのか。そもそもカスハラ加害者側に、自分がカスハラをしている自覚がないところに問題があるのではないか。 カスハラといっても、何がカスハラであって何がカスハラではないのか、判断は難しい。明らかに理不尽なことは別として、乗客の声のトーンや表情、仕草など、悪意がなくてもドライバーの感じ方によってカスハラ行為になることもある。 例えば、急いでいる時など、どうしたらドライバーが嫌な気持ちにならずに伝えることができるか、考えてみてはどうだろうか。 「交通法規を守ったうえで急いでください」 「無理しない程度に急いでください」 「急いで」の言葉の前に、相手を気遣う言葉を入れるだけで受け取り方は大きく変わってくる。 自分が言われたら嫌な言葉は言わない。ちょっとした気遣いの言葉をつける。それだけで、カスハラの加害者になることを免れるのではないだろうか。