「年末年始の株価は上がりやすい説」検証した結果…1949年からのサンタクロースラリー期間のデータ
クリスマス前にリスクを抑えるために保有している銘柄を売りがちとなり相場が下落しやすいため、その反動で、クリスマス以後は、株高の傾向があります。 ■「1月効果」のジンクスは有効か? 次に、2つ目のジンクス「1月効果」はどうでしょうか。1月効果とは、1月は株高傾向があるというものです。東証再開以来、1月に日経平均株価が上昇した年は52回あり、70%と高い勝率(52年÷東証再開以来の年)でした。過去の長い期間で見ると1月効果はみられます。
しかし、注意が必要なのは、近年は1月効果があまり見られないことです。2000年以降に絞って計算すると勝率は54%に過ぎず、半分ちょっとしか上昇しない傾向です。つまり、1月効果を単純に信じても有効な株価ジンクスにはならないようです。 ただし、少し深掘りして1月効果を捉えると、とても参考になるポイントがあります。 先ほどのサンタクロースラリーと合わせて考えてみましょう。サンタクロースラリーは2000年以降でも71%の勝率で効果的な株価ジンクスでした。しかし、数は少ないながらも残りの29%(100%-71%)は失敗した年です。この失敗した年に限って、続く1月の日経平均株価の騰落率調べると71%と高い勝率で上昇傾向がありました。
つまり、サンタクロースラリーどおりにならなかった年は、年明けの1月効果で株価が上昇しやすいのです。 対照的にサンタクロースラリー通りに株価が上昇すると、年明け後は1月に上昇する傾向が高くありません。2000年以降で見て、サンタクロースラリー期間で上昇した後に続く1月効果の勝率は47%と50%を割ってしまい、株安の年が多くなりました。 ■ジンクスを使って投資姿勢を考える 1月効果は、クリスマス休暇後に復活する外国人投資が相場を牽引することが背景にあります。しかし、その前のクリスマス後、サンタクロースラリーですでに株価が上がっていると、上値余地も限定されてしまうようです。
一方、サンタクロースラリー期間でジンクスに反して株価が下がっていると、その反動も加わって高い1月効果が見られます。 こうしたジンクスを使って投資姿勢を考えてみましょう。まずはサンタクロースラリーのジンクスで、クリスマスから投資を行います。検証結果に見られるように高い勝率どおりに年末まで株価が上がっていたら、一旦そこで手仕舞ってしまいまししょう。しかしサンタクロースラリーのジンクスどおりではなく株価が下がっていたら、続く1月効果に期待して、年明け後も株価を保有するという方法がいいのかもしれません。
吉野 貴晶 :ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長