英中銀、6対3で金利据え置き決定-2025年も緩和継続へ
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は19日、政策金利を4.75%で据え置くと発表した。2025年も緩和を継続する方針を示した。
同日公表された金融政策委員会(MPC)議事要旨によると、据え置き決定は6対3だった。3人は4.5%への利下げを主張した。
ラムズデン副総裁とテイラー委員が、利下げ主張でディングラ委員に加わった。0.25ポイント利下げを支持する声の大きさは、エコノミストの予想外だった。
ベイリー総裁は声明で「今後の利下げについては段階的なアプローチが依然として正しいと考えている」とした上で、「経済の先行き不透明感が高まっているため、今後1年間の利下げの時期と規模の約束はできない」と述べた。
声明発表後の放送局とのインタビューでも同様の見解を繰り返し、2月の利下げ確率を約50%としている市場のプライシングは「極めて妥当な出発点」だと指摘。最近の経済指標で前年比のデータには「かなりのノイズ」があったとの見方を示した。
投資家は、投票結果と総裁のコメントを驚くほどハト派的と受け止め、2025年の利下げ観測を強めた。
短期金融市場が織り込む来年3回目の0.25ポイント利下げの確率は上昇した。決定発表後に英国債利回りは発表前に比べて低下。ポンドはドルに対して下げに転じた。
トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、英中銀は労働党政権の最近の予算案の影響に加え、地政学および貿易をリスク要因として挙げた。
中銀の見通しにはスタグフレーションの様相が見られ始め、10-12月(第4四半期)はゼロ成長になる見込みだ。
18日にインフレを焦点とすることをあらためて強調した米連邦公開市場委員会(FOMC)と対照的に、今回の決定で示された英中銀の姿勢はハト派的だった。
賃金の伸び加速と8カ月ぶりのインフレ率上昇を受け、インフレが持続するリスクが膨らんでいると指摘しつつ、「段階的」な利下げと会合ごとのアプローチという方針は維持した。これはMPCが四半期に1度の慎重なペースで緩和を進める方針をデータが覆すには至っていないことを示唆する。