島根県知事、廃線危機のJRローカル線の存続「社会的な約束だ」 経団連の消費税引き上げ提言に「世も末だ」と反発
また、新型コロナウイルス禍で利用者が減った赤字ローカル線の運行本数を削減するダイヤの見直しが相次いだことには「ローカル線全体をフェードアウトしていく(マイナスの)効果」があるとみる。今後も「病院や学校に行くには便数が少なすぎて使えないといった、利用者が逃げるダイヤ改正が進まないか警戒しなければいけない」と強調した。 国鉄の分割民営化でJR旅客6社とJR貨物の計7社に分割されたことについては、人口減少を背景に業績不振に陥っているJR北海道やJR四国の苦戦を念頭に「(7社にする分け方は)うまい結果にならなかった」と指摘した。 ▽中間層疲弊 丸山氏は、経団連が昨年発表した2024年度税制改正に関する提言で、社会保障制度の維持のための財源として消費税の引き上げを「有力な選択肢の一つ」としたことに「中間層を疲弊させ、実質所得を下げていく」と反発した。消費税を引き上げれば「少子化を悪化させかねない。世も末だ」と苦言を呈した。
上場企業の決算が好調なことを踏まえ、(税の)負担能力がある大企業の業界集団である経団連が、(消費税で)個人に負担を求めれば良いとする姿勢は、「日本人の所得水準を下げていくことを良しとしている」と非難した。その上で、「日本社会や経済はどうでもよくて、経団連に加盟している会社にとってこれが一番(都合が)良いということを言っている」と強調した。 ▽財界総理の呼称「誤解の域」 経団連会長は影響力から「財界総理」とも呼ばれるが、丸山氏は、日本経済全体を俯瞰(ふかん)してベストチョイス(最も良い選択)がこれだと言ってくれる人、などと扱うことは「誤解の域に達している」と首をかしげた。経団連会長は「パーシャル(一部分)しか代表してないということでいけば、(日本)医師会などの会長が言っているのと変わらない」と主張した。 ただ、「メザシの土光さん」と呼ばれ、増税なき財政再建を掲げて政府に行政改革の断行を迫った経団連第4代会長(1974~1980年)の土光敏夫氏らは戦後復興を経て、経済大国にした立役者だと評価した。その上で、「同じ扱いを(現経団連会長の十倉雅和氏ら)現在の(財界)人たちにするのは適当ではない」と強調した。