31年ぶりの香港公演で躍動した静香＝香港・九龍

【香港25日＝納村悦子】歌手、工藤静香（54）が24日夜、31年ぶりとなる香港公演を九龍のマック・ファーソン・スタジアムで行った。今年のツアーの最後を飾る公演で、1993年に初の海外ツアーで訪れた思い出の地に再上陸。現地では90年代のJ－POPブームに乗って絶大な支持を集めており、人気曲「メタモルフォーゼ」など18曲を披露。約1500人のファンを興奮の渦に巻き込んだ。 香港が誇る100万ドルの夜景に負けない〝女神〟の笑顔が輝いた。 名曲「I　am　ready」のイントロが流れると、地鳴りのような歓声と拍手が鳴り響く。待ちわびたファンの歓迎ぶりに静香は感無量だ。 広東語を駆使して「ダイー・ガー・ホーウ，オー・ハイー，ゴン・タンー・ゼンー・ヒョン（大家好，我係工藤靜香＝皆さん、こんばんは、工藤静香です）」とあいさつ。「ヘイーモン・トンー・ダイー・ガー，ヤー・チャイー・ワイー・ミンー，トン・ラウー・ダイー・サンー・ゲー・ゲイ・イエ（希望同大家一齊懷緬同埋留低新既記憶＝皆さんと懐かしみ、そして新しい思い出を作りたいと思います）」と呼びかけると、会場は一気にヒートアップした。 香港公演は1993年の初の海外ツアー「RISE　ME　TOUR」以来2度目。90年代のJ―POPブームや日本のドラマの流行に乗り、代表曲「慟哭」「黄砂に吹かれて」が現地の歌手にカバーされ、87年の出演ドラマ「おヒマなら来てよネ！」が注目されるなど知名度は抜群だ。 人気は衰え知らずで、昨年9月に30年ぶりに行った台湾公演が好評を博し、現地ファンの熱いリクエストに応える形で31年ぶりの香港公演が実現。記念すべき公演を一目見ようと中国、韓国、台湾、日本と近隣国・地域からも多数来場した。 ステージでは名曲「めちゃくちゃに泣いてしまいたい」を情感豊かに歌い上げ、「慟哭」や「恋一夜」でファンをくぎ付けに。MCでは広東語、英語、日本語の3カ国語で盛り上げ、代表曲「嵐の素顔」では曲名のごとく嵐のような大歓声を巻き起こした。 約2時間、計18曲で完全燃焼。アンコールでは「Near　future，I’ll　come　back．（近い将来、また来るよ）」と約束。この日一番の盛り上がりを見せる中、最前列の子供ファンに自ら着けていたリングライトをサプライズプレゼントし、新アルバム「明鏡止水」の収録曲「霙」を披露。歴史的公演を華やかに締めくくった。