【独占】原作者・吉田修一が日本一大きい湖“琵琶湖”をロケーションに選んだ理由とは メイキング写真も公開 映画『湖の女たち』
吉田修一氏による“現代の黙示録”とも言うべき同名小説を『日日是好日』『星の子』『MOTHER マザー』の大森立嗣が監督・脚本を務め実写化した、映画『湖の女たち』。この度、本作の舞台となった美しい琵琶湖での撮影の様子を映したメイキング写真が公開された。 本作の舞台は日本一大きい湖、琵琶湖。とある介護施設での不審死事件を発端に、隠された真実が次々と炙り出されていく一方で、刑事と容疑者という関係でありながら歪んだ関係に溺れていく刑事・濱中圭介(福士蒼汰)と介護士・豊田佳代(松本まりか)。人間の内なる闇や欲を描いているのと対照的に、そんな彼らの姿をただ静観しているのが、本作のもうひとつの主役といえる“琵琶湖”である。 新たに公開されたメイキング写真では、早朝の撮影中に山のふもとから昇ってきた朝日に照らされ光を反射する湖面や、スーツに身を包んだ福士と手錠をかけられた松本が見つめ合う中、静かに波を揺らす湖が映し出されている。 琵琶湖へ取材に行き、インスピレーションを受けたという原作者の吉田修一は「取材で琵琶湖の北のほうを回ったときに、本当によそ者を拒んでいるような不思議な雰囲気がありました。静かにこちらをじっと見つめてきて。でも、はっきり拒まれている感じがします。海はどこかにつながっていると思えるのですが、湖は閉じているんです。京都の隣という地理的な条件や歴史もあるし、物語が生まれるポテンシャルが高いと思いました。」と琵琶湖の存在感が本作に強く影響していることを語る。 大森立嗣監督は「キャストもスタッフも琵琶湖に泊まり込みで撮影をしたのですが、特に北側の方は独特でした。湖の他には何もないような。小説と同じように、佳代の自宅の撮影で「川端」を生活用水にしている民家をお借りできたのも、とても有意義でしたね。」と、撮影時の印象を振り返り、琵琶湖地域の独自性について明かす。 先日行われた本作の完成報告会において、佳代役の松本は難役を演じるにあたり、置かれている環境、状況、体感を体現したといい、「琵琶湖の近くの介護施設で介護をし続けてきた人であり、まわりに圭介のような刺激的な人がいたわけでもないですし、そういうある種の孤独感というか、静かな生活に自分の身を置くというそういう極限状態に陥った身体感覚みたいなものを自分に近づけることはできるのかなと思ってそういう状態でいました。」と、この地域での環境や暮らし、そこから生まれる感覚を頼りに役に挑んだことを語った。 映画『湖の女たち』は、公開中。
otocoto編集部