【大学野球】「一緒に風呂に入っていたあの子が投げている…」早大・小宮山悟監督と東大・渡辺向輝の“球縁”
◆東京六大学野球春季リーグ戦 第4週第1日▽早大15―0東大(4日・神宮) 忘れかけた思い出がよみがえってきた。早大、4回表の攻撃。2番手でリリーフした東大のサブマリン・渡辺向輝(3年=海城)を見つめていると、三塁ベンチの小宮山悟監督(58)はタイムスリップした感覚になった。 2000年代後半の千葉マリンスタジアムへ-。 「シルエットが似ている。しかも、サインをのぞき込む姿ね。グラブを左膝に乗せ、ボールを腰に乗せて…本当にそっくりだった」 渡辺の父は言わずと知れた2000年代を代表するアンダースロー・渡辺俊介氏(現・日本製鉄かずさマジック監督)だ。小宮山監督にとっては、ロッテ時代のかわいい後輩にあたる。 幼き頃、パパにくっついて、向輝はよくマリンスタジアムへ遊びに来ていた。 「皆さん方(報道陣)には、分からないと思いますよ、この感じ。試合が終わってから、一緒に風呂に入っていたあの子が投げているなんてね…」 野球場は、様々な人と人とが出会い、あるいは再び顔を合わせる場所。千葉マリンスタジアムの風呂場から、小宮山監督も渡辺もいろんな足跡を残し、年輪を重ねた上で、神宮球場のグラウンドで再会した。そこには軌跡と奇跡がある。 胸いっぱいの“球縁”を感じた午後だった。(加藤 弘士)
報知新聞社