「おもてなし武将隊」は文化になるか/愛知
多くの隊のパフォーマンスが「よさこい」風の踊りをベースにしているのも、決して偶然ではないだろう。「よさこい」と違うのは、集団で踊るにしても数十キロの甲冑を着けながらという体力、トークも人柄も見せなければならないという器量。それらを備えた武将隊は「ヤンキー文化の頂点」にあるとも言えるのではないか。 ■課題は財源と独自性のバランス 「『武将隊文化』の先駆者として、これからも精進して参る」 天下一を獲得した後、名古屋の「信長」は涙を浮かべながらこう叫んだ。実際のメンバーはいたってマジメだ。ただし現状、一番の課題は「財源」だ。 名古屋では国の雇用対策事業が終了した2012年度から、運営を広告代理店に完全移行した。メンバーも一部入れ替え、名古屋城以外のツアーやCDデビューなど、さらに斬新な企画でファンの心をつなぎ止めている。ただし、まだかなりの部分を出演料などの形で得る市の補助金に頼っており、市の意向や制約も気にせざるを得ない。 名古屋はまだ恵まれており、他ではボランティアで活動している地域もある。運営資金や権利関係をめぐって行政と民間とで裁判沙汰になるトラブルも出てきている。武将隊が本物の文化になるか。「戦い」はこれからだ。 (ジャーナリスト・関口威人/写真提供・名古屋おもてなし武将隊事務局)