<下剋上で頂へ―’24センバツ・中央学院>第5部・支える/4止 勝利信じ後輩鼓舞 卒業生30人の思い力に /千葉
「お前たちのおかげだから」 センバツ出場校が発表された日の翌朝、中央学院の前主将、佐久間源一郎さん(18)が福嶋翔平部長にあいさつに行くと、真っ先に感謝の気持ちを告げられた。思いがけない言葉に驚いたが、素直にうれしかった。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 今春の卒業部員約30人が中心のチームは、2023年の夏の県大会の5回戦を最後に引退した。先制点を挙げたが、終盤で投手陣がつかまり、勝ち越された。だが、卒業部員たちはその後も引き続き練習に参加し、ノックを打ったり、トスを上げたりして、新チームをスタートさせた後輩たちをサポートしてきた。 秋の県大会が始まると、学生コーチだった森遥輝さん(18)を団長とする応援団を結成。初戦から、宇都宮市であった関東大会まで毎試合スタンドに全員で陣取り、声援を送った。チームの応援曲「シダックスファイヤー」などに合わせ、選手たちを鼓舞した。 東海大市原望洋との県大会準々決勝では二回に失策などで7失点。それでも勝利を信じて声援を送り続けた。これに後押しされるように七回に上村晃平(3年)が中前打で出塁すると、盗塁を絡めて生還。チームはこの回、計11点の大量得点で逆転勝利した。粘り強く勝ち上がっていく後輩たちの姿に、佐久間さんは「自分たちのあの負けも、無駄ではなかった」と感じた。 センバツに向け、関西入りするため9日の卒業式に出席できなかった相馬幸樹監督は1日、卒業部員たちをグラウンドに集めた。「君たちがいなかったら下級生も育たなかった」と感謝し、「一生懸命サポートしてくれたみんなの将来を応援したい」とはなむけの言葉で送り出した。 大学で野球を続ける卒業部員たちは練習のため、甲子園に駆け付けることはできない。佐久間さんもその1人だが、チームを思う気持ちは変わらない。「寮でずっと一緒に過ごしてきた仲間たち。力を合わせて中央学院らしい野球をしてほしい」と勝利を託した。 支えてくれる人たちの思いを力に変えて、中央学院は20日、初戦に挑む。【林帆南】=おわり