阪神地下「スナックパーク」惜しまれつつ閉店 ── 最後は客から自然と拍手も
長い間、おおきにな──。大阪市北区にある阪神百貨店地下1階のフードコート「スナックパーク」が17日夜、約60年の歴史に幕を閉じた。いか焼きをはじめ、カレーやそば、すしなどを「立ち食い」で味わえる昭和から続く「名物」だったが、同百貨店建て替え工事のため閉鎖。最終日となった同日はずっと「行列60分待ち」が出るほど多くの人が訪れ、閉店時には客から自然と拍手がわきおこるなど、愛された立ち食いグルメスポットは長い歴史に幕を閉じた。同百貨店は18日から20日に売り場移設のため休業。いか焼きなど4店舗がテイクアウト専門で営業を続ける。
警備員が行列最後尾で「60分待ち」のプラカード
営業最終日となった同日も、午前10時の開店から別れを惜しむファンらが多く訪れた。オムライスの店では、行列が百貨店の外の地下街まで伸び、警備員が最後尾で「60分待ち」のたて看板を持って対応。さらに持ち帰りの用の容器がなくなりイートインのみの販売となるほど、行列が途絶えることはなかった。 大阪市大正区から来たという20代の女性は「自分が自分のお金だけで初めて食べた場所。あの時、300円出して食べたオムライスが忘れられへん」と話し、看板を持った警備員に記念撮影を求めるほどの思い入れぶりだった。 すしを味わっていた堺市の50代の女性は「買い物帰りに、すしを気軽に食べて、いか焼きを家族に買って帰るのがお決まりコースやった。このハケでしょうゆをぬるのも終わりかと思ったら、なんか寂しいね。ところで次もできんの? はよ作ってほしい」と話していた。
客の男性「長いことおおきに」と言いたい
大阪市平野区の男性(40)は「最後に食べとこ思ってきたら、こんなに来てるとは。これだけの行列やと並ばれへんわ。けど、子どものころからお世話になったんで、長いことおおきにと言いたいですね。阪神に来たらクリームジュースとスナパーが好きやった」とちょっと残念そうに話しながら、駅へと向かっていった。 同日午後9時になると同時に入り口のシャッターが静かに降ろされ、その前には多くのテレビ・新聞の取材陣や、食べ終わった客らが最後を見届けようと集まっていた。閉店と同時に大きな拍手や歓声がわきおこるなど、親しまれた昭和のスポットらしい光景に、多くの人が笑みを浮かべていた。 21日から「いか焼き」「ちょぼ焼き」「浪速のお好み亭」「御座候」の4店舗が、同じフロアに設置されるテイクアウト専門のコーナー「スナパー」に移設し営業を続ける。同百貨店の広報担当は「移設する4店舗はテイクアウトが可能ですし、引き続き営業を続けていきますので、なくなるわけではありません。建て替え後の計画は、すいぶん先のことですので、まだ未定です」と話している。