モデルボクサーの引退騒動は撤回と謝罪で決着。次戦はテストマッチに変更
高野は神妙な表情で「私の発言が大きな反響を呼んでしまい、ファン、ボクシング関係者、ジム、トレーナー、スタッフ、一緒に会見した黒木さん……多くの方にご迷惑をおかけしました。本当にすみませんでした。ゼロから心を入れ替えてボクシングに励みます」と謝罪した。 引退発言に関しての経緯や、理由などついても質問が及んだが、会見中も終始発言がコロコロ変わり、今なお精神的に安定していない様子。 「このままやっていても(世界王者)は無理じゃないかなと思ったし、決して思いつきで突発的に言ったわけではない。でもプロとしての自覚がなかった」と、反省ばかりが口をつき、今後芸能活動とボクサー活動をどう自分の中で振り分けていくのか? と聞かれても「わからない」と言葉を濁した。 昨年の11月にWBO女子世界スーパーフライ級王者、ダニエラ・ベルムデス(アルゼンチン)に挑戦したが、4回にTKO負け。鼻骨を折られ、世界との実力差をまざまざと見せつけられた。陣営は世界再挑戦の青写真を書いていたが、今回の引退発言に象徴されるように、高野にボクサーとして練習姿勢などの変化が見られず、金平会長だけでなく高野を支えるトレーナー陣からも大ブーイングが起きて、話題提供のつもりで高野の発した引退発言が、スポンサーも含めて想定外の大きな波紋を呼ぶことになったようだ。 ボクサーの引退か、再起かの問題に関しては、今なお現役を続けている辰吉丈一郎の例を出すまでもなく、プロアスリートとしての立ち位置、そして、人としての生き方を示す重要な問題。それを軽々しくネタにする時点で、ある意味、“プロレス”ではあるが、なかなか話題を作ることのできない女子ボクシング界のエンターテイメント的な魅せ方とするなら、ファンや関係者にとっては、許容範囲なのかもしれなかった。だが、それは女子ボクシングへの冒涜とも取れるし、「ボクシングにリスペクトの無い人間がリングに上がることはできない」との金平会長の言葉通り、話題作りのテーマとしては、少し品がなかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)