原動力は周囲の支え バズーカ岡田のもとで研鑽を積む23歳、葛藤を越えてつかんだジュニア選手権V
「ボディビルを通してみなさんに感謝を伝えられることを本当に誇りに思います」 ジュニアNo.1を決めるステージで万感の思いを語った倉林怜央。「第36回日本ジュニア男子ボディビル選手権大会」(8月25日開催、品川区立総合区民会館)で70kg以下170cm超級の優勝を手にした男は、強い思いで今大会に臨んでいた。 【フォト】悲願の優勝をはたした倉林のマッスルボディ
彼は“バズーカ岡田”こと、日本体育大学教授の岡田隆氏が顧問を務めるボディビル部でコーチを務める23歳。競技に取り組みつつ、同大学の大学院では研究に精を出す日々を送っている。 もともとはサッカーに取り組んでいた倉林。その中で筋トレの魅力を知り、大学進学を機にボディビルの世界へ足を踏み入れた。とはいえ、大学2年生の時に関東学生ボディビル選手権に初出場するも、結果は予選敗退。3年時には同大会で8位に入賞することができたが、それ以上の実績を獲得することは叶わなかった。 「4年生の時はボディビルを辞めたくなることが多くて、結局大会に出ず1年間オフを過ごしました。それで今回ジュニア選手権に出たんですけど、本当にありがたい結果をいただけて、自分ひとりで獲ったものではないと思っています。 家族や岡田先生、部活の先輩・後輩、研究室内のみなさまをはじめ、たくさんの方々に支えていただき、もう一度ボディビルに挑戦したいと思いました。時間を大切にして、本当に1レップの質から見直して過ごすことができました。それが今回、こういった形で評価していただけたのが本当にうれしかったです」 大学院に進学した理由を聞くと「岡田先生のように肉体を探求しつつ、科学に向き合う人間に憧れました。このままボディビルだけではなく、研究のほうもしっかり怠ることなく向き合っていきたいです」と熱い思いを語ってくれた。悩みを越えた末につかんだ栄冠だからこそ、今回得た自信は彼の未来を明るく照らしていくだろう。
取材・文/森本雄大 写真/木村雄大