『虎に翼』週タイトルの意味を解説 女性に向けられた偏見を示すことわざの数々
第3週「女は三界に家なし?」
「女は三界に家なし」は、「女は、子どもの頃は親に従い、嫁いでからは夫に従い、老いては子に従うものだから、この広い世界のどこにも安住できるところがない」ことを意味する(※3)。「三界」とは仏教で、欲界、色界、無色界、すなわち全世界を表している。 女子部法科の学生数が激減し、同科の存続が危機に直面した第3週。同級生と親しく付き合おうとしなかったよねも、居場所を守りたいと、「明律祭」の、女子学生に興味を持ってもらうための出し物である法廷劇に参加。寅子は、よねが家を出ることになった、彼女のつらい生い立ちを知る。 さらに、寅子の兄・直道(上川周作)に嫁いだ、親友・花江(森田望智)が、嫁としての立場に悩んでいたり、涼子が桜川男爵家の後継ぎを産むように、母・寿子(筒井真理子)からプレッシャーをかけられていたりなど、寅子は女性たちが苦悩する“自分の居場所”について考えるようになる。
第4週「屈み女に反り男?」
「屈み女に反り男」とは、「女は前に屈み、うつむき加減の姿が良く、男は胸を張った、反り加減の姿が良いということ」を指す(※4)。 明律大法学部に進学した寅子たち。男子学生の花岡(岩田剛典)が「これからは男女平等だ」と歓迎しながらも、陰では「女は優しくすると、つけあがる」と話しているのを聞いた寅子は、花岡に対して不信感を抱く。 親睦の目的で行われたハイキングでは、梅子の夫に妾がいると陰口をたたく男子学生たちに、寅子が激怒すると、花岡は、社会的地位が高く、経済力のある男性が妾を囲うことを正当化する。 「屈み女に反り男」といった慣用表現が横行する、男性優位の世の中に、全く納得できない寅子だった。
第5週「朝雨は女の腕まくり?」
「朝雨は女の腕まくり」は、「朝に降る雨は、じきにあがるのと同様、女が腕まくりをして、いくら力んで見せても、すぐにへたばってしまうので、少しも怖くない」という意味(※3)。 「共亜事件」に巻き込まれ、逮捕された父・直言(岡部たかし)の無実を信じる寅子は、はるが毎日つけていた手帳と調書の内容を照合し、直言が自白を強要された事実を突き止める。 さらに、直言が長時間にわたって革手錠をされて追い込まれたことが違法だと気づき、弁護を担当する穂高に進言した寅子。 はるが、日記としてつけ続けてきた「主婦乃手帖」と、寅子の勉学が大いに役に立ち、「朝雨は女の腕まくり」ということわざが間違っていることが証明された。