不満?それとも?なぜ5球団競合で楽天が交渉権を得た明治大の“侍”ショート宗山塁は無表情を貫いたのか…後で明かした仲間への思い…2025年の目標は新人王と開幕1軍
ここにも伸吉さんの教えが息づいている。 「父からは継続することの大切さも学びました。自分の目標であるとか夢といったものをしっかりと発信していって、それを達成するに見合う努力を積み重ねていくことが何よりも必要なので、そこも変えずにやっていきたいと思います」 広島の広陵高では1年生の2018年夏から2019年春と甲子園に出場した。しかし、最終学年では新型コロナ禍で春夏ともに甲子園が中止となった。夢舞台への挑戦すらかなわなかった当時の空しさが、いま現在につながっていると宗山は言う。 「もちろん悔しかったし、当時は感情をどのように表現していいのかがわからなかったけど、その先の野球人生を考えたときに、甲子園がなかった分、大学野球で自分のプレーを見てほしい、大学野球で頑張りたいという思いが強くなったし、それは間違いではなかったというのを、その時の自分に伝えたい」 明治大では1年生の春から遊撃手のレギュラーに定着。今春には侍ジャパンに招集されたように、井端弘和監督(49)が期待するほど守備力は高く、打撃面でも現時点で東京六大学の歴代8位タイとなる通算116安打を放つなど、攻守両面で大きな成長曲線を描き、ドラフト1位で5球団が競合する快挙を自ら手繰り寄せた。 1位指名から約3時間後の午後8時には、楽天の森井球団社長、石井シニアディレクターらがドラフト会場から駆けつけ、さっそく指名の挨拶を受けた。 楽天のショートには、今シーズン139試合に出場したプロ9年目の村林一輝(27)がいる。それでも、交渉権獲得が記されたクジに三木肇新監督(47)のサインを添えて手渡した明治大出身の森井社長は、宗山の1位指名に「すべての担当スカウトから、一番いい選手を指名すべきだ、という声があがった」と舞台裏を明かした。 楽天球団の期待をあらためて感じた宗山は、決意を新たにしている。 「高く評価していただいたことに感謝しています。結果で応えていきたい。(楽天は)若い選手からベテランの選手までバランスがいい、レベルが高いチームだと思っています。村林選手をはじめとする内野の選手の方々には、自分から積極的にアドバイスを聞きにいきたい。ファンの方々から愛される選手になりたいと思っていますし、そのためにも試合に出続けられる、息の長い選手になっていきたい」 4球団が1位で競合し、中日が交渉権を獲得した金丸夢斗投手(21、関西大)ら、高校3年時の春夏甲子園が幻と化した世代が、大学で成長を遂げてプロの世界へ挑む前に、宗山には明治大のキャプテンとして臨む最後の一戦が待っている。11月2、3日に行われる法政大との秋季リーグ最終戦を経て満を持して新たな舞台へ羽ばたいていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)
【関連記事】
- 清原和博氏の息子である慶応大の正吾は24日のドラフトで指名されるのか…注目候補の“二世選手”が他にも4人いる
- ドラフト1位で競合必至の関大153kmサウスポー金丸夢斗は全球団OKの方針表明も意中の球団は阪神とオリックス?!
- なぜ?公表1球団の“鉄のカーテンドラフト”で「本当に1位指名すべき」9人と「評価に疑問が残る」危険な上位候補とは?…ノムさん“片腕”元ヤクルト編成部長が直前診断
- ドラフト“ロマン枠”候補9人を元ヤクルト編成部長が選ぶ…九州の“大谷二世二刀流”、巨人大勢、阪神伊藤将の“そっくりさん”、徳島に隠れていたもう一人の159キロ右腕
- 「上位3人遊撃手指名の巨人は最下位評価」元ヤクルト編成部長がドラフト成否を独自採点…「90点以上は楽天と中日。日ハム、ソフトは未来型で西武とヤクルトは戦術成功。阪神はユニーク挑戦」