結(橋本環奈)の“本来の姿”が見えた『おむすび』第四週、神戸での幼少期エピソードがヒントに
物語の鍵を握るのは“変身”?
また結の性格を語る上でもう一つ外せないのが、異常なほどのお節介であることだ。第1話で少年の帽子を取るために海に飛び込んだことから始まり、風見先輩(松本怜生)とのお出かけ中にもかかわらず体調不調のスズリン(岡本夏美)を助けたり、大荷物で道に迷っていた四ツ木(佐野勇斗)の母に手を貸したりと、自分が大変な状況になろうとも人の手助けをしている姿が印象的だ。 このお節介さも、“震災”きっかけでの行動なのでは?と思わされていた視聴者が多いのではないだろうか。誰もが混乱していた震災直後、人と手を取り合い助け合った経験があったからこそ困った人を見捨てることができないのでは、という考えに行きつくのは自然な流れだろう。 もちろんそれも間違いではないはずだが、第18回で結は子どもの頃から人のために尽くせる子だったということが明らかになった。6歳の結は自分の貯金箱を持って一人で神社に行き、大人たちが喧嘩をしないようにと神様にお願いをしていたのだ。自分の全財産を失ってもいいからみんな仲良くしてほしい、と行動した当時の結を見れば、妙にお節介な高校生の結にも納得がいく。 震災によって結は色んなものを失ったかもしれないが、一番大切とも言える人に対する優しさは失われていない。「自分以外の誰かのために」と動けるこのパワーは、これからも結の大きな武器になるだろう。 さらに今回はこれまで繰り返し登場してきた、セーラームーンへの変身シーンが放送された。鏡に向かってせっせとセーラームーンになりきるチビ結の姿は、第1話冒頭で高校の制服に手を通す結の姿とリンクする。第四週は結が初めてギャル姿になった週でもあったことから、結の奥底にある変身願望が描かれたともいえるだろう。人はいつからでも変われる、変身できる…そんなメッセージが強く込められているようにも見えた。 現在と過去を行き来しながら、少しずつ描写の答え合わせができた第四週。まだ進化途中の結が、これからどんな姿に変身していくのか楽しみだ。
音月 りお