ギャンブルで自殺する若者も...オンラインカジノ“無法地帯”日本がとるべき「3つの対策」とは
行政が急いで取り組むべき「3つの対策」
では、ギャンブル依存症対策には何が必要か。元依存症者の筆者の実体験からも、次の3つの対策を急いで欲しいと考えている。 (1) ギャンブル依存症の啓発 まずはなんと言ってもギャンブル依存症という「病気」があり、誰でも罹患する可能性があるという基礎知識を国民全体に行き届かせることである。 まだまだ病気と認知されていないために、「説教」「行動監視」「金銭管理」などで、家族がなんとかしようともがいているケースが多い。また、当事者も「もっと意志を強く持たなくては」と苦しんでいるが、こういった自己責任論では病気は回復しない。 (2) 支援体制の強化 ギャンブル依存症対策には医療だけでなく、闇金や詐欺集団との闘い、家庭内暴力、自殺企図などで警察の理解と連携が非常に重要である。また離婚や多重債務、詐欺や横領などの刑事事件を起こしてしまった場合は弁護士との連携、貧困問題、母子支援では行政との連携など、他機関連携がとても重要だ。省庁間連携を作り支援体制を強化し、予算も確保する必要がある。 (3) 取り締まりの強化 オンラインカジノに関しては殆ど無法地帯となっていたが、2024年に入ってやっと決済代行業者、アフィリエーター、YouTuberが逮捕されるようになった。今後も違法オンラインカジノ関連業者の取り締まり強化と厳罰化を進めて頂きたい。 同時に「オンラインカジノは違法」という啓発も若者達に広めなくてはならない。 ギャンブル依存症対策は、当会のような支援団体だけでは到底行き届かない。国もギャンブル産業も待ったなしで本腰を入れて取りかかってほしい。 ◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『 文藝春秋オピニオン 2025年の論点100 』に掲載されています。
田中 紀子/ノンフィクション出版
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