企業の新卒一括採用が障壁?産官手厚く支援、なのに数伸び悩む日本人留学生
高校、大学からの日本人留学生倍増を掲げ、文部科学省が展開している留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」。2013年のスタートから達成時期に設定した2020年まで、折り返しを過ぎましたが、目標値に届くには留学者数増加の勢いがまだ足りません。 伸び悩みの原因はなんでしょうか?
「グローバル化に対応できる若者が足りない」
そもそも4年前、文科省が「トビタテ!留学JAPAN」と銘打ち、東京五輪・パラリンピック開催の2020年までに、年間日本人留学生数を大学生6万人(同時期)から12万人、高校生3万人(同)から6万人に倍増を掲げたのは、どんな理由があるのでしょう。 ひとつは日本企業のグローバル化です。アジア地域に進出している企業数は2001年6345社から2013年には2.5倍の15874社に増えるなど、海外に進出する企業は急増しました。しかし一方で近年、世界における日本の存在感の低下を示す統計データが並びます。 IMF(国際通貨基金)の調査によると、一人当たり名目GDP(国内総生産)は2000年の3位から大きく後退(2016年22位)。また、OECD(経済協力開発機構)の調べでは、日本からの海外留学生は、不況を理由に企業からの社会人留学が減ったことなどもあり、2004年約8万3千人から、2012年には約6万人まで減少、28%も落ち込みました。 加えて、世界経済フォーラム・ダボス会議に日本から選ばれたヤンググローバルリーダーズたちからも「同世代の他国のリーダーに打ちのめされた」、「高校生、大学生から世界のうねりを体験させるべき」という意見が寄せられました。国や企業などでは「グローバル化に対応できる若者が足りない」という共通認識が強まったのです。 こうして、産官学出身者約40人がチームを結成。2014年に文科省初の本格的な産官協働プロジェクトとなる「トビタテ!留学JAPAN」の「日本代表プログラム」を、留学機運醸成のための主要事業と位置づけ、始動しました。