企業の新卒一括採用が障壁?産官手厚く支援、なのに数伸び悩む日本人留学生
留学全体は伸び悩み 「就活に障壁」「海外赴任はしたくない」目立つ“内向き”
「日本代表プログラム」の認知度は上がっていますが、国内全体の日本人留学生数は、大学生8.4万人(2015年度独立法人日本学生支援機構)、高校生は海外テロが頻発した影響もあり、2015年度は2年前に実施した前回調査結果よりも減少し、3.6万人(文科省)でした。2020年までの倍増目標にはどちらも伸びが足りていない状況です。 留学生が大きく増えない要因としては、何が考えられるのでしょうか。トビタテ!留学JAPANが今年6月に実施した調査結果によると、留学未経験の学生の54.7%が、「新年度に企業が新卒一括に採用する制度が障壁になる」と回答、留学の時期によっては帰国後の就職活動に間に合わなくなる懸念が、二の足を踏む要因のひとつになっているとわかりました。 しかし、同じ調査で、企業の採用担当者の75.3%は「留学するために留年や休学することは採用においてマイナス評価にならない」と回答。「留学経験者が仕事で役に立つ」が8割、「大学時代に留学はした方がいい」が84.4%に達するなど、企業が求める新入社員像と、就活のために“ストレート”卒業にこだわって留学を避ける学生の考えにズレが生じていました。 留学を見送る別の原因も考えられています。日本の若者の「内向き志向」です。産業能率大が実施している「新入社員グローバル意識調査」によると、「海外で働きたいとは思わない」の回答は2004年3割を切っていましたが、その後増え続け、2015年は63.7%(前回比+5.4ポイント)と、過去最高になり、海外生活に対して“及び腰”になっている様子がうかがえます。 ただ新入社員が国際化を軽視しているわけではないことも調査からはみてとれました。新入社員の大多数は「日本企業はグローバル化を推進すべきだ」(73.4%)、「すでに語学を学んでいる(これから学びたい)」(71.6%)と、答えています。 西川さんは「留学は一部のエリート学生や英語好きの学生だけの特別なことではなく、通過儀礼にしたい。残り3年で全体の留学生数を大きく増やせるよう巻き返したい」。ひとりでも多くの意欲ある学生が国外へ“トビタテ”るかどうか、折り返しをすぎた留学キャンペーンの真価が問われるのはこれからです。