オカムラ、学習家具に参入「mirumio」 子供っぽさ皆無の“大人デザイン”
オカムラは、好ましい姿勢をアシストする子供向け学習家具「mirumio」(ミルミオ)を2025年3月に発売する。標準価格は未定だが、基本となるデスクとチェアのセットで約10万円を予定している。ワゴンやタブレットスタンドなど別売オプションも用意される。応援購入サービスの「Makuake」では12月20日~2025年1月30日の期間に特別価格で先行販売が実施される。 【この記事に関する別の画像を見る】 オカムラでの販売は個人向けECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」にて行ない、当面はオンライン販売限定になる見込み。発売に先駆け、2025年1月には製品を展示し体験できるイベントを開催する。オカムラの本社ショールームでも2025年1月14日から展示するが、同ショールームは平日のみ開館しているため、子供と一緒に来館できるよう、休日のオープンも検討されている。 「mirumio」は、人間工学に基づいた好ましい学習姿勢をアシストするという学習家具。「子供の成長に合わせて、家具も成長する」をテーマにしており、長く使うことを想定したデスクとチェアで構成する。デスクの高さやチェアの調整が簡単に行なえるほか、オカムラが考える好ましい姿勢をアシストする設計が特徴。また外観デザインは子供っぽさを排除し、インテリアになじみやすく、大人になっても使い続けられるデザインにした。 mirumioの設計は、小学生から中学生、高校生までも想定しており、デスクとチェアの両方で幅広い調節が可能。 チェアは成長に合わせられるよう、高さに加えて座面の前後調節幅を大きく設けた。座面はカバータイプで、汚れた場合は取り外して洗濯が可能。 小学校低学年の子供向けには、チェアの基本設計は共通ながら、足を乗せられるフットステップと腰回りを支えるアジャストクッションがセットになった「ジュニアタイプ」もラインナップする。どちらも成長に合わせて取り外しが可能。キャスターは、フットステップ利用時の安全性を考慮し、加重がかかると動きがロックされるタイプ(レバーでロックなしに切り替え可能)がセットになる。 チェアのサイズは600×540mm(幅×奥行き)、座面の高さが365~465mm、背もたれの高さが690~790mm。カラーはライトグレージュ、ブラックの2種類。別売オプションとして交換用カバーリング10色がラインナップされる。 デスクはラチェット方式の高さ調節機構を備えており、工具不要で、天板を持ち上げるだけで脚が伸びて高さを変えられる。パネルのほか、現代の学習シーンを考慮したタブレットスタンドや、ペン立てを兼ねたブックエンド、ワゴンが別売オプショとして用意される。奥行きは60cm(636mm)。家庭用として素足で利用することも想定し、各部は指を挟みにくい設計になっている。 デスクの幅は900mと1,200mmの2種類。天板の高さは640~730mm。パネル付き製品の高さは1,044~1,134mm。天板のカラーはブライズウッドライト、ブライズウッドダークの2種類。脚のカラーはネオホワイト、ライトグレージュ、ブラックの3種類。 ■ “人生で初めての椅子”をオカムラに オフィス家具大手のオカムラが家庭用、それも子供用の学習机やチェアを開発した背景には、2つの要素がある。 ひとつは、「人生で初めての椅子がオカムラなら、さらにもっと愛されるブランドになるのではないか」という販売現場からの何気ない声。もうひとつは、コロナ禍を経てリモートワークが一定の定着をみせたことで、オフィスチェアの快適さを再認識した人が増え、自宅用に購入するケースが増加したこと。 自宅では子供も椅子を利用しており、そこにオカムラの製品を届けることで、「子供の頃からオカムラの椅子を使ってもらい、ファンになってもらう。そういうストーリー」(オカムラ 執行役員 オフィス環境事業本部 マーケティング本部長の眞田弘行氏)と、製品に込めた背景が紹介されている。 一方、眞田氏は開発は簡単ではなかったとも振り返る。子供の成長に合わせたサイズの調節に加えて、好ましい姿勢を実現するには、チェアだけでなくデスクもセットにする必要があるという方針を採用。パソコンやタブレットを使う学習スタイルも研究・分析して、別売オプションで対応した。 オカムラでは、筋力の弱い子供はチェアの背もたれをしっかり使うことが大切と分析しており、姿勢の悪い子供が増えているという調査結果なども踏まえて、好ましい姿勢を実現することが、今回の製品の重要なコンセプトになっているとしている。 これには、コロナ禍で外での活動が制限されたことによる筋力の低下や、タブレット学習などスクリーンを見て学習するスタイルの増加も影響しているといい、腰痛、肩こり、身長が伸びにくくなるなどの悪影響も報告されている。 企画を担当したオカムラ オフィス環境事業本部 マーケティング本部 ワークプレイス製品部の岩田友香氏は、サイズを調節でき体格に合わせられるのが必須条件だったとした上で、ライフスタイルの変更に合わせて、子供っぽさをなくし、大人まで長く使えるデザインにしたことを紹介している。 新たなブランドとして立ち上げる「mirumio」については、ラテン語のミルム(驚き)とミオ(わたし)を組み合わせた造語で、知的好奇心を大切にして勉強してもらいたいという想いを込めたとしている。 なお、製品に付くロゴなども「OKAMURA」ではなく新ブランドの「mirumio」を前面に打ち出している。その理由について眞田氏からは、「メッシュチェアでは『コンテッサ』が有名で、最近ではワークブース全般を『テレキューブ』という人も多い。市場を切り拓くなら、プロダクトのブランド名を打ち出すという考え方もある。“子供向けならmirumio”になってほしいという想いで、思い切って付けた」と説明されている。
Impress Watch,太田 亮三