離島の工場60年の歴史に幕 内藤電誠工業(川崎市)12月末に新潟県佐渡市で生産終了
電気機械器具製造、内藤電誠(ないとうでんせい)工業(本社川崎市)が新潟県佐渡市の2工場の営業を12月31日で終了し、佐渡でのものづくりをけん引してきた60年の歴史に幕を下ろす。島内で人材を確保できず、企業活動の継続が困難と判断したことが主な理由。従業員約90人のうち9割相当の約80人が退職し、佐渡に残る見通しだ。 【写真】内藤電誠工業の真野工場 佐渡工場では10年ほど新採用がなく、平均年齢は12月末時点で55歳。退職者のうち約3割は、60歳以上の再雇用者。島内にとどまりたいとの理由から、グループ会社への移籍希望者は約10人だった。中高年者は長年、生活拠点を佐渡に構え、これから島外へ出るのは難しかったとみられ、移籍を希望したのは比較的若い独身者が多かったという。 佐渡の工場の生産終了に伴い、約60人が年内で退職する。営業終了後も2025年3月末までは閉鎖に関連する業務があるため、一部の社員が勤務する。 内藤電誠工業は1950年設立で、 高密度集積回路(LSI)の設計、製造、販売などを行ってきた。記念誌によると、佐渡進出のきっかけは、県や島内の旧市町村が過疎化対策として陳情したため。佐渡から多くの社員を採用していた縁もあり、決断したという。