MROジャパン、スターフライヤー機のリース返却整備 EASA認定で新事業
那覇空港を拠点とする整備会社MRO Japan(MROジャパン)は2月26日、リース機返却事業について、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)と確認書を締結したと発表した。リース元への返却前に必要なMRO(整備・修理・分解点検)は現在は海外で進められてるが、EASA(欧州航空安全庁)がMROジャパンを整備事業場として認定したことで、国内での返却前整備が可能となった。MROジャパンは、設立当初から目標としていた新規事業のリース返却ビジネスを本格始動させる。 【写真】リース返却前の13号機を清掃するスターフライヤーの社員 MROジャパンは、今年から2026年までの期間内に実施するスターフライヤーのリース返却整備を受託する。また、自動車の車検に例えられる2年ごとに必要な「Cチェック(重整備)」のうち、返却直前となる2年前のCチェックを準備段階と位置付け、返却整備への準備を進める。 リース機の契約期間は8年か12年が主流となっている。リース元へ返却する場合、機体を返却前の状態に戻すなどの返却整備が必要で、FAA(米国連邦航空局)やEASAなど、リース元が指定する国際基準を満たした返却整備が求められている。返却整備は通常の整備と異なり、原状回復などが含まれるため、整備期間は長く、作業も大規模になる。 従来は国内でMROを展開できる拠点がなかったが、MROジャパンが2022年にEASAの認定を取得したことから、国内での返却整備を本格化できるようになった。 MROジャパンは、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が全額出資して2015年6月に設立し、2019年1月の那覇での事業開始前に実施した増資後は株主が8社となった。格納庫は沖縄県が建設したもので、県は航空機整備事業を中心とした航空関連産業の集積を目指しており、MROジャパンは前身の全日空整備時代から使用してきた伊丹空港の格納庫から那覇へ全面移転した。 ANAグループの機体を中心に日常の整備やCチェックのほか、同社が得意とする塗装作業などを手掛けている。国内各社のほか、2022年には台湾新興のスターラックス航空(星宇航空、SJX/JX)から整備業務の受託も開始。VIP向けチャーターサービス会社コムラックス(本社・スイス)から整備委託先に認定され、同社が保有するエアバス製ビジネスジェット機「エアバス・コーポレート・ジェット(ACJ)」のACJ318型機のCチェックも受託した。
Yusuke KOHASE