FRB、利下げ継続可能 ペースの不透明感増大=セントルイス連銀総裁
Michael S. Derby [ニューヨーク 4日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は4日、連邦準備理事会(FRB)は利下げを継続できると予想していると述べた。ただ、ペースについては不透明感が増しているとの認識を示した。 ムサレム総裁は講演で、インフレ率がFRBが目標とする2%に向け引き続き低下していく可能性が高いことを踏まえると「制約的な政策を中立的な政策に向けて、緩やかに追加的に緩和していくことが適切になる」と述べた。 同時に「こうした基調に沿って、政策の選択肢を維持することが重要になる」と指摘。「利下げのペースを緩めるか一時停止して、現時点の経済環境のほか、入手される情報や変化しつつある見通しなどを慎重に見直すことを検討する時期が近づいている可能性がある」とした。 現行の金融政策については、コアインフレ圧力が目標を上回っていることを踏まえると、現在の制約的なスタンスは適切と言及。同時に、「現在の環境下では、政策を早すぎる段階で緩和しすぎることは、緩和の程度が小さすぎるか遅すぎるリスクよりも大きい」との見方も示した。 インフレ率を目標水準に戻すにはあと2年かかる可能性があると予想。力強い経済を背景とした現在のインフレ水準と、労働市場が完全雇用に達しているといえる状況を踏まえると、忍耐強い金融政策スタンスが適切になるとの考えを示した。 労働市場が一段と冷え込み、賃金の伸びが鈍化する中、米国の経済成長率は長期的な潜在水準に向けて緩和していくと予想。ただ、失業率が自然な推定値に向けてわずかに上昇する中でも、労働市場は完全雇用と一致する状態を維持できるとの見方を示した。 17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)については、追加利下げが必要か判断する前に幅広いデータを検証したいとし、「あらゆる選択肢を排除していない」と述べるにとどめた。 FRBのバランスシート縮小(量的引き締め)については、2022年夏のピーク時の約9兆ドルから、現在は約7兆ドルまで縮小したと指摘。「バランスシート縮小は今後も続く」と述べた。ただ、どの水準まで縮小させるかは現時点では分からないと語った。 来月に就任するトランプ次期大統領が関税措置の導入のほか、不法移民の国外追放や減税などを公約に掲げていることに絡み、金融政策の長期的見通しの不透明感も増大している。ムサレム氏は、関税措置導入の「教科書的な理解」は、価格が上昇し需要が減退するということだとした上で、政府の政策については実際に導入された時点で検討すると言及。こうした不確実性はFRBの予測の妨げにはならないとの見解も示した。