祖母の遺品から「500円玉貯金箱」を発見! 総額500万円だけど、全額もらって大丈夫?「小銭貯金」ならバレないの?
祖母の遺品整理中に、タンスから50万円貯まる500円玉貯金箱がたくさん出てきたら、正直ラッキーと感じるのは不思議なことではありません。しかし、相続税の対象である資産をこっそりもらって申告しなかった場合、税務署にバレる可能性があります。 本記事では、500円玉貯金箱の現金は相続税の対象になるのか、無申告が税務署にバレる理由や申告しなかった場合のリスクについて解説します。 ▼祖父の部屋から「大量の小銭」を発見! 申告は必要? 勝手に使うのはNGなの?
500円玉貯金箱の現金は相続税の対象になる
仮に満タンの「50万円貯まる500円玉貯金箱」が10個あると、総額500万円です。この現金は、タンスで保管していた資産であり相続税の対象となります。そのため、きちんと相続人の間で遺産分割をする必要があります。
500円玉貯金箱が税務署にバレる理由
家のタンスの中にあった現金は銀行に預けているわけではないのに、なぜ税務署にバレてしまうのでしょうか。 ■国税総合管理(KSK)システムにより所得は把握されている 図表1
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要 税務署は、国税総合管理(KSK)システムにより国民一人ひとりの財産がどれくらいあるのかを把握しているといわれています(図表1)。 毎年、確定申告をした情報や、給料などの情報をこのシステムで一元的に管理しているのです。国税庁はこれらの情報を分析して、税務調査や滞納整理に活用すると明言しています。 亡くなった家族のこれまでの所得などから、相続財産はこのくらいありそうだと推測され、実際に申告した相続財産との乖離があると、「財産を隠しているのではないか?」と疑われるのです。 ■相続税の実地調査件数は増加中 財産が把握されているとはいっても、税務署の調査が本当におこなわれるのかと、疑問に感じるかもしれません。しかし、税務署による相続税の実地調査の件数は増加しています。 国税庁が公表した「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」によると、令和4事務年度の実地調査の件数は前年度の6317件から大幅に増加し、8196件でした。これは前年度比129.7%となります。 さらに、約86%の割合で申告漏れが指摘され、追徴税額は本税だけで582億円となっています。このように、税務署は精力的に実地調査をおこない、税の公平性を保つために努力を惜しまない厳格な調査体制を整えているといえます。