酷暑の夏休み、「1食100円」「エアコン使わない」「絵日記に書くことがない」シングル家庭の厳しい実態
シングル家庭の支援をおこなっている全国32団体で構成するNPO法人「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」は8月2日、オンラインで会見を開き、酷暑の夏休みが家庭にどう影響しているか調査をおこなったと発表した。 調査では、夏休み中は学校給食がなく、家庭で食事を用意しなければならないため、経済的負担が増す。そのため、母子3人世帯の4割が「1食100円」で過ごしているという。 また、8割の家庭が節約のために「エアコン使用を控えたい」と回答。夏休みに遊びに子どもを連れて行く経済的な余裕もなく、「絵日記に書く内容がないと言われた」など、厳しい状況が浮かび上がった。
## ●夏休みは食事の回数を減らす
調査は7月20日~28日、各団体がメールマガジンなどを通して会員にアンケートフォームを送り、回答を募った。有効回答数は2111で、全国47都道府県から回答が寄せられたという。 回答者のほとんどが20歳以下の子どもがいる家庭で、シングルマザーは98.5%だった。 まず7月の就労収入では、休職中や病気などで就労収入がない人が9.7パーセントと、全体の約1割を占めた。また、7月は賞与月であって通常よりも収入が増える人が多いが、それでも15万円未満が52.8%と半数以上となった。 経済的に困窮する家庭にさらに負担となっているのが、学校の夏休みだ。3人世帯の4割が「1食100円」で過ごしていることがわかった。また、一番下の子の食事について尋ねると、3人に1人が「1日2食」だった。 自由回答からも、厳しい状況が浮きぼりとなった。 ・夏休みは朝昼兼用でまとめて食べさせています。 ・1日の食事回数を減らす。夏休みは1日2回。 ・子どもは2食だが、母親は1食。 ・おかゆでかさを増したり、もやしでかさを増したりする。 ・麺類を短く切って量が増えたように見せる。 ・コンビニで働いているので廃棄をもらっている。
## ●節約でエアコン使わず、水を浴びる
また、光熱費も重くのしかかっており、「エアコン使用を控えたい」という人が多かった。実際、エアコンを使っていない家庭も目立った。 ・エアコンは未設置。シャワーはガスを使わず水。 ・エアコンは基本的に我慢。限界になったら水を浴びる。 小中学生の子どもがいる親に夏休みに子どもを遊びに連れて行くかと聞いたところ、5割が「予定がない」と回答した。 夏休みの長さについては、「今より短いほうがいい」と回答した人は4割だった。その理由として、次のような声が寄せられた。 ・夏休みはエアコン代、お昼代と毎回泣きたくなります。 ・何もかも値上がりした今、たまごやウインナーですら買うことためらってしまいます。夏休みの縮小で、1日も早く給食を食べさせてほしいです。 困窮状態は夏休み以降も続く。シングル家庭からは、継続的な国の支援や養育費の未払い問題の解決などを求める声が上がった。 ・1年前にひとり親を理由に解雇となり非正規雇用となって給与が10万円減りました。家賃・光熱費を払うと、給料日に残高は1万円あるかないかです。児童手当、児童扶養手当の支給がない月は、お財布に100円もない状況で何週間も過ごしています。政府は一時的なものではなく、継続的な支援を。安心して子育てができる、普通の暮らしを保証してほしい。 ・共同親権よりもまず、養育費の徴収義務化、算定表額の倍増が最もひとり親が望んでいて、一刻も早く実現してほしいことです。なぜこの国は養育費を払わない無責任な親が何の罪にも問われないのか。なぜ算定表はあんなに少ない額なのか。足りるわけがない。怒りに震え、いつまでも変わらないこの国に絶望しています。子の福祉の点でも明らかに人権侵害です。 ・離婚と同時に養育費が天引きできる制度ができると助かります。元夫には罰則がないから俺は逃げ切ると堂々と言われました。
## ●脅かされる生存、早急な対策が必要
調査結果をふまえ、「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」では、「酷暑が続いており、低所得世帯の子どもたちにとって、基本的な生存が脅かされている状況です。そこで、早急な対策が必要になっています」として、次のような提言をおこなっている(抜粋)。 ・夏休みなどの長期休暇および気候変動による酷暑を踏まえ、低所得世帯への一時金などの対策を早急に行う必要がある。 ・児童扶養手当の拡充が望まれる。 ・養育費の立替払いなどの制度導入。 ・家賃補助