阪神にセオリー無視のマテオ起用のツケ? 横浜DeNAに逆転サヨナラ負け。
長いペナントレースはひとつの糸でつながっている。 前日に5時間を越すヤクルトとの死闘で、阪神ベンチは守護神マテオに3イニング、61球を科すという冒険をしながら1点を守れず、ドローに終わっていた。移動日無しの横浜DeNAとの3連戦。初戦、及び第2戦をマテオ抜きで戦わねばならなくなっていた。 4月1日の横浜DeNA戦の試合前から阪神は飛車角抜きだったのだ。 先発の能見は、責任感からか、力投を見せる。8回まで無失点。だがその8回は、得点圏に走者を進められ、明らかにバットの芯で打球を捉えられ始めていた。 能見、崩壊の兆候。これまで何度、好ピッチングを最後の詰めの甘さで逃すパターンを見てきたか。雨と冷気も手伝って、しきりに指に息をふきかけるポーズも能見が淡白になり始めるときのサインだという。 代え時は、代え時だった。だが、守護神・マテオが不在だから、交代の選択肢は後ろ回しになる。 加えて球数も、まだ106球。しかも9回の先頭は、4番の筒香。ここまで3打席は力でねじふせていた。左対左。代えるにしても福原の繰り上げではなく、まずは高宮か、榎田のワンポイントを一人挟む継投になる。そう考えると能見対筒香から始まる最終回のマウンドにベテラン左腕を送り出す選択肢もわからぬでもない。そして首脳陣の頭の中には、開幕第2戦で、完投できなかったことを悔んだ能見の心意気が残っていた。 しかし、横浜のベンチでは、ラミレス監督が予感を感じていた。 「能見と筒香の相性はいい。100球を超え、ストライクゾーンにボールがくれば、やるぞと思っていた」 昨季の両者の対戦成績は9打数7安打、1本塁打と、左対左にもかかわらず打率.778とカモにしている。 初球だった。力ないストレートが筒香のホームランゾーンに入った。打球は、雨を切り裂き、阪神ファンで埋まる左中間スタンドへ起死回生の同点アーチとなって飛び込んだ。 「失敗は、あの入りだけだった。それまでは完璧」 金本監督は、その失投を悔やむ。