奥菜 恵インタビュー いつのまにか40代「 忙しすぎて、あの頃の記憶がないんです(笑)」
「あの頃は芸能界も労働基準が緩くて周りの大人たちと同じように働いて、とにかく寝る時間が欲しかったです。仕事も授業の合間に通い、学校が終わるとそのまま朝まで撮影。少し仮眠を取ってまた登校するような強行スケジュールでした。修学旅行も途中で参加しましたが、睡眠不足のせいかあまり記憶がないんです。でも、思い返せばあっという間でしたし、濃厚だったのはたしかです」 【画像】透明感がすごい…!奥菜 恵「40代の美貌」…! 女優の奥菜恵(44)は多忙を極めた10代をそう振り返る。 彼女の芸能界デビューは13歳の頃。ドラマ『パ★テ★オ』や『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(フジテレビ系)に出演し、キュートなルックスと演技力で瞬(またた)く間に芸能界を代表する若手清純派スターの階段を駆け上がった。だが、その一方で彼女を蝕んだのが人気絶頂ゆえの仕事量の多さだった。 「仕事量が膨大でキャパシティを超えていて、現実に気持ちが追い付いてなかった。精神的にもギリギリで余裕はありませんでした。将来というよりは現時点での自分をふと考えた時に『私は今、大丈夫なのだろうか?』という不安が強かったです。一日一日をなんとか生きているような感覚でした」 仕事と学業との両立により許される睡眠時間はわずか2~3時間。’08年に出版された自叙伝『紅い棘(とげ)』(双葉社)では当時の苦悩をこう赤裸々に綴(つづ)っている。 《高校生の頃、いつだったか病院に駆け込んだことがあった。とにかく悲しくてたまらなくて、何かに取り憑(つ)かれたように泣き喚(わめ)き、混乱し、呼吸がうまくできない状態に陥った。(中略)パニック障害、自律神経失調症、うつ……。病名など、はっきり言ってどうでもよかった。》 引退騒動や離婚を経験するなど人生の紆余曲折も味わってきた奥菜。当時を回想しながら嚙みしめるようにこう呟(つぶや)く。 「当時の自分に声をかけてあげられるなら『大丈夫だよ』と伝えてあげたいです。うん、そうですね。『何にも心配ないよ。大丈夫だよ』と……」 その言葉通り、’16年には俳優の木村了(35)と再婚を発表。現在は二人の愛娘とともに家族4人で慌ただしくも満ち足りた日常を送っている。 「娘が生まれてからは子供が最優先。やっぱり子供たちとはその時しかできないことがあるので仕事も無理のない範囲で取り組むようにしています。穏やかな時間もありますが、今は今で忙しく、朝から晩まで予定はパンパン。ハードスケジュールなのは変わっていないかも(笑)」 幼少期から大人の世界で悪戦苦闘してきた彼女は、娘との向き合い方にも人一倍気をつけているという。 「私自身が大人に交じって過ごす時間が多くて、どうしても自分の意見が通らなかったりすることがありました。その分、母となった今は娘たちを子供である前に一人の人間として接するように心掛けています。自分がどうしたいのか、そういう言葉に耳を傾ける意識は忘れないようにしていますね」 孤独から一転、母となり、最愛の家族を得た奥菜。しかし、そんな彼女を突如襲ったのが『尋常性白斑』という病気だった。 「病気がわかったのは3年前です。ある時に自分の身体の一部が白くなっているのに気付いて病院に行くと、先生から『尋常性白斑』という診断を告げられました。病気自体もそうですが、こういう職業だから仕事も続けられないかもしれない現実を突き付けられて言葉が出ず、何も考えられない状態でした。簡単には受け止めきれなかったです」 『尋常性白斑』はマイケル・ジャクソンも発症していた病気として知られ、現在も根本的な治療法は見つかっていない。 「私の病気は進行性で完治するかはわからない。治療法もそんなになく、現状では付き合っていくしかありません。今は塗り薬や飲み薬、光治療を受けるなどしてコントロールしています。幸い私は体調が悪くなったりすることはないので、病状を見て対応しています」 彼女が自身のSNSで病名を公表したのは昨年のこと。この投稿は多くの反響をもたらした。 「実を言えば、公表するつもりはなかったんです。表舞台に立つ機会が多い分、もしかしたら仕事にも影響が出るかもしれないという不安もあり、公表には後ろ向きでした。でも、ちょうど自分が病気をきっかけにプロデュースした化粧品の説明をするタイミングがあって。『尋常性白斑』の話をせずに販売するのは自分としては不自然に思えて、こういう形に至りました。 ずっと頭の中で考えてはいたんですけど、公表を決めたのは投稿当日のことです。同じように病気で悩む人から言葉をもらえたり、想像以上の反響を頂いて驚きました。まだまだ世間的な認知も低い病気ゆえ、いじめや差別を受けたりしている方もいて、少しでも病気への理解が広がってほしいという思いから公表して良かったと感じてます」 今年4月3日には15年ぶりとなる写真集『Okina Megumi』(宝島社)を発売。大胆なカットも盛り込んだ作品は大きな話題を呼んでいる。 「最初、写真集の話を頂いた時は『私でいいのだろうか』というのが率直な感想でした。でも、周囲に相談してみたら『やってみなよ!』と言ってくれて。病気の影響で露出できる箇所も限られてくるので覚悟はいりましたが、今まで以上に挑戦的な作品になっていると思います」 若い頃は命までかけた芸能界。そして、病気を受け入れた先に見えた彼女の”大丈夫”な日々はこれからも続いていく。 『FRIDAY』2024年4月19日号より
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