フォルランのJリーグデビュー なぜ不発に終わったか?
広島は、フォルランに特別意識なし
セレッソ大阪に新加入した2010年南アフリカW杯得点王&MVPのFWディエゴ・フォルランが、サンフレッチェ広島との2014リーグ開幕戦でJリーグデビューを果たした。 世界のビッグネームが集ったJリーグ草創期を思わせる、久々の超大物の加入とあって、ヤンマースタジアム(旧称長居スタジアム)には3万7079人が足を運び、報道陣485人が詰め掛けた。ところが、注目のフォルランは先発出場したもののゴールはならず、後半36分に途中交代。チームも0―1で敗れ、開幕白星を飾ることはできなかった。 “不発デビュー”となってしまったフォルランだが、この試合から見える今後の可能性はどのようなものだろうか。フォルランはセレッソ大阪を変えることができるのだろうか。まず言えるのは、誕生から21年がたち、選手たちのスキルや経験値が向上している現在のJリーグにおいては、たとえビッグネームと言えども5割、6割のコンディションでは決定的な仕事はできないということだ。 対峙した広島のDF水本裕貴は「フォルランのコンディションは100%じゃないと思うが、素晴らしい選手だというのは感じた。シュートの意識も高く、少しでも隙があればシュートまで持って行かれる」と能力の高さを実感しつつ、こう続けた。 「20年前のJリーグが始まったころと比べたら、代表も強くなっているし、日本のサッカーは少しずつ上昇している。フォルランに対しては特別な対応はしなかった」 1993年Jリーグ開幕戦で鹿島アントラーズのジーコはハットトリックを達成した。1994年に来日したストイコビッチ(名古屋グランパス)はリフティングでDFを次々と抜き去って自陣からボールを運んだ。しかし、日本代表がW杯5大会連続出場を決めている今の世の中では、そのようなおとぎ話は、そう簡単には生まれない。そう感じさせる“初陣”だった。 ともあれ、フォルランのコンディション不足が今回の評価の際の割引材料であることは確かだ。来日は2月12日。チームに合流したのは13日で、調整期間は、まだ2週間あまりしか日なかった。しかも、Jクラブは通常、シーズンオフ明けから6週間前後の練習を行い、開幕を迎えるが、フォルランは、日本の就労ビザが下りるのに時間がかかったこともあり、来日前は、自主トレを行っているに過ぎなかった。