2023年、藤原裕が買った服。やっぱりアレが登場!──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」
今年はベルベルジン25周年を迎え、いつも以上に多忙だった藤原裕。でも、ちゃんと買い物はしてます。2023年のベストバイをご紹介! 【写真を見る】実際に購入した私物をチェック!
古着もいいけど、新品もね!
こんにちは、藤原裕です。いやあ、今年も買いまくりでした。ヴィンテージアイテムはもちろんですが、今年は懇意にさせていただいている方が手掛けるブランドを中心に、新品のアイテムもたくさん買いました。正直、数年前までは“ヴィンテージ以外は服にあらず”と思っていた私ですが、最近は新品の素晴らしさに感動しきりです。特に冬場はあったかいんですよ、サラ着(=新品)は。例えて言うならば、1960年代の古着で身を固めていたとしましょう。つまり、それは1960年代の寒さに近しいということです。現代の科学ってすごいなぁ。またコム デ ギャルソン ジュンヤ ワタナベやセントマイケルなどの、ヴィンテージの風合いを今に取り入れたアイテムは、古着のニュアンスを絶妙に汲んでいて、古着好きとしてもすんなり受け入れられます。買ったものまだ着ていないものもたくさんあるので、年明けから着まくるのが楽しみですね! はい、今年下半期に購入した思い入れ深いアイテムを紹介します! ■70年代ショットのワンスター ショットの人気モデルであるパーフェクトは、ユーズドショップ「デザートスノー」の25周年記念で、町田店にお祝いに訪れた際に購入したという。「エポーレットに付いた星型のスタッズが特徴の通称”ワンスター”は、ショットの定番なだけにずっと探していました。ビッグサイズは希少なので、半ば諦めかけていたのですが優良コンディションで見つかって嬉しかったです。ちなみにこれは、昨年発売されたeye JUNYA WATANABE MAN × BerBerJin × schottのコラボプリントジャケットの原型になったモデルです」 ■リーバイス×ウィンチェスター ウエスタンボアジャケット 先日、晴海・東京ビッグサイトで開催された「フルギフェス」にて、出店されていたファッション業界の大先輩であるスタイリスト・大久保篤志さんから購入した一品。「過去に小さいサイズの個体は見たことはあるのですが、『L』サイズは初。しかもデッド(ストック)に近いミントコンディションで、見つけた瞬間にテンションがあがりました。身頃のみに内側にボアになっています。古いワークやアウトドアなどに見られるストームカフス仕様というのも嬉しいです」 ■ループウィラー フォー ロウワーケース×ポギー ザ マン 別注 スウェットトラッカージャケット スウェットシャツブランドであるループウィラーと、クリエイティブディレクターである梶原由景が手掛けるロウワーケース、さらに小木“Poggy”基史によるポギー ザ マンのトリプルコラボ。「スウェット地のファーストタイプが新鮮だったので購入しました。もちろんヴィンテージデニムとの相性も抜群。着心地もソフトで快適です」 ■ビッグヤンクのワークシャツ 40年代製のヘリンボーン地で、ビッグヤンクの代名詞であるポケット通称”山ポケ”がついているのが特徴。「10年前に持っていたけど手放してしまい、今年の夏ごろに購入しました。16ハーフという大きめのサイズ感で、当時のワークシャツとしては珍しく、ビッグヤンクは着丈が長くないのできやすいんです。あと、色がヴィンテージならではのナスコン(=茄子の紺のような色)という部分にも惹かれました。袖口も“ストームカフス”と呼ばれる特徴的な作りになっています」 ■セントマイケル×ベルベルジンの後付け両Vパーカ 「私が所有してい50年代チャンピオン製のヴィンテージのパーカをベースに作ったコラボモデルで、セントマイケルでは初の後付けパーカになります。両V仕様でセパレートポケット、さらにフードは後付という、ヴィンテージなら数百万はくだらないパーカを、繊細な加工を駆使し忠実に再現しています。『SAINT』の染込みプリントの仕上がりも圧巻です」 ■エルメスのクレッシェンド 今年もデニムと同じくらい好きだという、ヴィンテージのエルメスもしっかりとゲット。「以前、ポップアップなどでもお世話になったフランス在住の方が手掛けるオンラインショップ『カイサ ヴィンテージ』で購入しました。クレッシェンドが欲しい、探しているとカイサさんに話をしたら、来日の際に持ってきてくれて。T字部分はK18ローズゴールド」 ■リーバイス×ベルベルジン 501XX 1942Model 最後に紹介するのは「ベルベルジン」の25周年を記念し「リーバイス」と製作したスペシャルな限定デニム。「先日発売したプレミアムデニムはもちろん購入しました。生地からフラッシャーまでとことんこだわって仕上げた思い出深い1本です。このデニムの誕生は自分のヴィンテージ人生の中でもトップクラスの出来事だっただけに、大切な日に卸したいと思います!」 PROFILE 藤原裕(ふじはら・ゆたか) ベルベルジン・ディレクター 原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」顔役。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。 今年は海外ではアメリカや中国、国内は岡山など、とにかく出張が多かったとファミマで買った「サントリー 角ハイボール9%濃いめ」をストローでちゅうちゅう吸いながらおちょぼ口で振り返る。取材時翌日は午前中に歯医者の予約があると言いながら、事務所にあるサンプルという名のヴィンテージコレクションを肴に、この日もハイボール、ハイボール、ハイボール、日本酒、日本酒、あれ何合? と快速運転。今年、印象に残った言葉は? 「憧れを抱くのはやめましょう。僕に(笑)! 」と、なんだか上機嫌だったのでそっとしておきました。
文・オオサワ系 編集と写真・岩田桂視(GQ)