マイチェンで名前まで変わった「アウディQ8 e-tron」ってどんな車? [Q8 e-tron試乗記]
累計販売台数は15万台超
アウディの量産EV第1弾として登場した「アウディ e-tron」がマイナーチェンジを機に「アウディQ8 e-tron」に進化。まずはオリジナルのアウディ e-tronの足跡を辿ってみる。 [写真で見る]Q8 e-tronの透視図、など全9枚 いまや「e-tron」という名前は、アウディの電気自動車としてすっかり認知されるようになった。その立役者が2018年にアウディの量産EV第1弾として登場した「アウディ e-tron」である。全長4,900×全幅1,935×全高1,630mmのミドルサイズSUVは、“Qファミリー”と呼ばれる同社のSUVに似たデザインを採用しながら、部分的に閉じた独自のグリルデザインや、フロア下にバッテリーが搭載されることをイメージさせるドア下部のデザインなどにより、EVであることをアピールしたのが特徴だ。翌2019年にはSUVクーペスタイルの「アウディ e-tron スポーツバック」が追加されている。 アウディ e-tron/e-tron スポーツバックには、モーター出力が異なる「55クワトロ」と「50クワトロ」の2グレードが設定されている。どちらも前後あわせて2基のモーターにより“クワトロ”と呼ばれる4WDを構成し、システム最大出力は前者が300kW、後者が230kWを誇る。搭載されるバッテリー量も異なり、55クワトロが95kWh、50クワトロでは71kWhとなる。 サスペンションは全車にアダプティブエアサスペンションを搭載。ユニークなところでは、ドアミラーの代わりに小型カメラを用いた「バーチャルエクステリアミラー」を搭載するモデルが選べる。
アウディ e-tronからQ8 e-tronへ
今回の改称は、アウディQ8 e-tron/Q8 スポーツバック e-tronがQファミリーのフラッグシップモデルであることを明確化したいという狙いがある。さらに“e-tron”がアウディのEVを意味することが浸透してきたことも改称の理由のひとつという。かつてアウディは、4WDを搭載したスポーツクーペを「アウディ クワトロ」として販売し、クワトロがアウディの代名詞となった。その後クワトロが浸透すると、モデル名の後ろに“クワトロ”を添えることで4WD仕様であることを示すようになった。同じことをこの“e-tron”でもやろうというわけだ。 マイナーチェンジだけに、エクステリアとインテリアのデザインがアップデートされているが、それについては別の機会に触れるとして、一番の進化は航続距離が伸びたことだろう。SUVのアウディ e-tronとQ8 e-tronで比較した場合、50クワトロでは316kmから434kmに、55クワトロでは405kmから501kmに大幅に向上しているのだ。これを支えているのがバッテリー容量の増加で、50クワトロにはこれまで55クワトロに搭載していた95kWバッテリーを採用。一方、55クワトロは、バッテリーの数を増やすことなく、内部の隙間をなくす構造としたことで、重量はほぼそのままで容量を95kWから114kWに増やすことに成功している。 急速充電性能が向上したのも見逃せない点で、アウディ e-tron/e-tron スポーツバックは当初50kWまでしか対応していなかったが、このQ8 e-tronでは150kWまで性能がアップ。アウディ ジャパンが進める150kW急速充電器や、ポルシェジャパンの150kW急速充電器やフォルクスワーゲン ジャパンの90kW急速充電器が相互利用できるPCAの恩恵を生かせるようになったのだ。 アウディQ8 e-tronのラインアップと価格は次のとおり。 ・Q8 50 e-tron クワトロ Sライン……1,099万円 ・Q8 55 e-tron クワトロ Sライン……1,275万円 ・Q8スポーツバック 55 e-tron クワトロ Sライン……1,317万円