履正社の急造「背番号1」が快投 七回までノーヒット センバツ
◇センバツ高校野球第6日(24日)2回戦 ○高知3―2履正社(大阪)● 昨秋の公式戦で登板わずか7イニングの背番号「1」が、甲子園で躍動した。八回の先頭打者に初安打を許すまで無安打に抑えた。 【鮮やか逆転劇…高知vs履正社を写真で】 魅力は力強いストレート。一回からいきなり145キロをたたき出した。四回2死無走者からは、外角への直球を要求した捕手・坂根葉矢斗のサインに首を振り、強気に内角を直球で突いて三振に切ってとった。二回に暴投で1点を先取されても崩れなかった。「ノーヒットは意識していなかった。力強い球を投げることを意識した」 努力の投手だ。同じ学年には昨秋までエースナンバーを背負った増田壮、今仲巧ら好投手がそろう。昨秋の公式戦は先発の機会はなく、救援で3試合計7回を投げただけだった。 しかし、腐ることはなかった。今冬は増田らのアドバイスも受け、上半身が突っ込んでしまう投球フォームを修正した。走り込みや筋力トレーニングで踏ん張りがきく下半身を作った結果、制球も球威も向上した。入学当時の直球は130キロ前後だったが、「今では自分の武器。かわす投手じゃなく(球威で)押す投手を目指している」と胸を張る。多田晃監督も「この冬に成長してくれた」と目を細める。 だからこそ、勝ちたい思いもあった。球速に陰りの見えた八回、1死一、二塁のピンチを招いて降板。後続が打たれ、逆転を許した。「スタミナと制球力はまだまだ。みんなのためにも抑えきりたかった」。続投できなかったことを悔やんだ。 手応えと悔しさを味わった初の甲子園。地道な努力で聖地の先発マウンドに立った左腕は「個人的にもチームとしても、まだまだ伸びていける。みんなと一緒にもっと成長したい」と力強く話した。【木村敦彦】