最高のバッテリー「高校でも日本一」市和歌山 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)は19日、阪神甲子園球場で開幕する。大会屈指の注目投手で市和歌山のエース・小園健太投手(3年)と主将の松川虎生(こう)捕手(同)は中学1年の時からバッテリーを組み、3年では全国大会で優勝した。全国の私立強豪校からも関心を集めていたが2人で市和歌山に進学し、高校で2度目の日本一を目指す。 【センバツ写真企画「花が咲いたら」】 お互いの第一印象について、小園投手は「体がでかく、髪を刈り上げていて怖かった」、松川捕手は「話しかけても会話が弾まず、目がいかつくて怖かった」と語る。出会ったのは中学生の硬式野球クラブ「貝塚ヤング」(大阪府貝塚市)。中学1年の6月には公式戦でデビューしたバッテリーは、3年になるとエースと主将としてチームの中心に。迎えた全国大会「ヤングリーグ選手権大会」で、小園投手は5試合中2試合で登板してチームを勝利に導き、決勝は松川捕手のサヨナラ安打で日本一を手にした。 松川捕手は「三塁手をしてほしい」と提案された大阪府の私立強豪校も考えたが捕手にこだわり、市和歌山への進学を決めた。きっかけは貝塚ヤング監督、川端末吉さん(67)の話だった。川端さんの息子は市和歌山(当時は市和歌山商)からプロ野球・ヤクルトに進んだ川端慎吾選手で、市和歌山のことをよく知っていた。「野球をやらされているのではなく、選手たちが中心となってのびのびと野球をするチーム」と聞いて興味を持ったという。 一方、小園投手は環境が整っている兵庫県の私立強豪校への進学を考えていた。そんな時、松川捕手から一本の電話がかかってきた。「またバッテリー組んで一緒に甲子園に行こうや」。この一言に背中を押された。「虎生が自分と一緒にやりたいと思っていてくれたことがうれしかった」と市和歌山への進学を決めた。 2020年夏の和歌山県独自大会3回戦、市和歌山は智弁和歌山と対戦。松川捕手はフル出場、小園投手は2番手で投げて1失点だったが、結果は4―7で惜敗した。その日、戻った学校のグラウンドで、2人で相手の帽子のつばの裏に「最高のバッテリー 勝利」と書き込んだ。松川捕手は「悔しさを忘れず、新チームでは最高のバッテリーを目指そうと互いに確かめ合った」と振り返る。 2人はこれまでケンカを一度もしたことがないという。昨年のお互いの誕生日には小園投手はバッティング手袋を、松川捕手はケーキをプレゼントした。小園投手は「虎生に誘ってもらったおかげで一緒に甲子園に出られる。絶対に日本一を達成したい」、松川捕手は「中学から夢見た場所に一緒に立てる。最高のバッテリーだと甲子園で証明したい」と力強く語った。【橋本陵汰】