650馬力で858万円ならドイツ製EVよりお得? [ヒョンデ アイオニック5 N]の楽しさはもはやガソリン車を超えた!?
■ドリフトを楽しめるセッティングまで用意!
とはいえこれだけじゃ、走りが楽しいクルマとは言えない。アイオニック5Nがすごいのは、ドライバーが運転を楽しむための、さまざまな工夫が施されている点だ。 ヒョンデはこれを「Nファンクション」と呼んでいる。まずは「N eシフト」。モータートルクを制御することでマニュアルミッションの操作感をシミュレートしている。パドルシフトを操れば、多段ギアを操るようなドライビングが楽しめるというわけ。 続いて「N Active Sound」。車内外にスピーカーからエキゾーストノートを奏でて、まるでエンジン車を運転しているかような感覚が味わえる。さらにそのサウンドは「2Lターボ車」から「EVレースカー」「スーパーソニック」という斬新なものまで、好みのものがチョイスできる。 「Nローンチコントロール」というのもある。これは停止状態から最大加速性能でスタートできる機能で、路面のグリップ力によって3種類のパターンが選択できる。 極めつけが「Nドリフトオプティマイザー」という機能。ドリフト走行をスムーズに行えるよう、前後輪の駆動比率と車両制御を最適化するという画期的なシステムなのだ。冒頭で述べた「ドリフトできるEV」というのもこのシステムのお陰。こいつは楽しそうだ!
■左太ももホールドのためにセンターコンソールも付けました!
もちろんアイオニック5 Nはこうした楽しさを実現するため、「体幹」もしっかり鍛えてある。 まずは基本となるシャシーだが、スポット溶接の打点追加と接着面の延長、サブフレームの補強などにより剛性をアップ。ねじれで11%、前輪横方向で15%、後輪横方向で16%というからこいつは効きそうだ。 さらには84kWhという高出力バッテリーや専用の熱管理システムも、その高性能を支えている。 足回りについては、N 専用の電子制御サスペンションを備える。ホイールのGセンサーに加えて6軸のジャイロセンサーを適用し、制御速度を圧倒的に高めているのだ。 車内に座ってみても、ヒョンデの本気を感じる。素のアイオニック5は広々した明るいインテリアがウリだが、黒基調の5Nは一転してスパルタンな雰囲気。コーナリング時の左太もものホールドのために、あえてセンターコンソールも設置したというから恐れ入る。 最後に、肉食系EVとでも呼べそうなアイオニック5 Nの価格は858万円。素のアイオニック5のAWD(ボヤージュ)に対しておよそ300万円のアップだが、超ド級の性能と、メルセデスのEQCやアウディe-tronといったジャーマン勢の価格を考えれば、意外とお手頃というべきかもしれない。