WBSS準決勝に挑む井上尚弥に本当に死角はないのか?
ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級準決勝の前日計量が17日(日本時間18日)英国グラスゴーの試合会場に隣接する施設で公開で行われWBA世界バンタム級王者、井上尚弥(26、大橋)がリミットよりも100グラムアンダーの53.4キロでパス、相手のIBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26、プエルトリコ)も53.4キロでクリアした。 フェイスオフで10秒以上睨み合った井上は、今回の試合を「過去最強の相手。誰も見たことのないような技術戦になる」と警戒しているが、ロドリゲスは本当に過去最強の相手なのか。そして井上が言う技術戦とは何を指すのか。ブックメーカーの「ウィリアムヒル」が井上勝利のオッズに「1・10倍」をつけるなど絶対有利とされているが、死角はないのだろうか? 対戦相手のロドリゲスは、ユース五輪金メダル、ユース世界選手権銀メダル(共に2010年、フライ級)のアマチュア実績を持って2012年にプロ転向。WBO、WBC、WBAのローカルタイトルを経て昨年5月に英国ロンドンでポール・バトラー(30、英国)とのIBF同級王座決定戦に抜擢された。バトラーは計量に失格したが試合は行われロドリゲスが判定勝利して王座を奪取。同年10月にWBSSの1回戦としてジェイソン・マロニー(28、豪州)に判定勝利して初防衛に成功している。井上はこの試合を現地で直接観戦した。 19戦して無敗の王者(12KO)。一撃で倒すパンチ力はないが、スピード、パワー、ディフェンスと3拍子揃った好戦的な万能タイプのボクサーでジャブから距離をつかみ試合を組み立ててくる。単発に終わらず、アマチュアの下地があるせいか、コンビネーションをまとめるのがうまく、プエルトリカンらしく至近距離からは、アッパー、フック、ボディを柔軟に繰り出しショートカウンターもある。特に右のストレートカウンターが武器だ。 井上の父で専属トレーナーである真吾氏も「尚と距離感も似ている万能タイプ。どちらが先にパンチを当てるか、反応できるか。拳を痛めていたマロニー戦の内容は良くなかったが、あの試合は参考にならない。五分と五分。ミスをすることが命取りになるような試合になると思う」と、その実力を高く評価している。 元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏は、井上陣営が口にする「過去最強」「技術戦」の意味をこう解説する。