カネカ 苫東に新工場 医療用カテーテル生産 来年5月着工 27年3月稼働へ
医療や食品などの総合化学業大手、カネカ(本社東京、藤井一彦社長)は7日、苫小牧東部地域の同社苫東工場敷地内に医療用カテーテルの工場を新設すると発表した。同社グループのカネカメディックス(本社大阪、石坂昌三社長)が出資し、投資額は約100億円。同工場西側約7000平方メートルに、2025年5月に着工し、27年3月の稼働開始を予定している。 同社は、医療機器を世界的に展開する一大生産拠点として、22年に苫東地域の臨空柏原地区に約8・1ヘクタールを取得し、今年8月に血液浄化器などを製造する苫東工場を開所。その際に同所でカテーテル生産も始める意向を示していた。 同社は、心臓・末梢(まっしょう)血管や脳血管の疾患を治療する血管内治療をはじめ、がんなど消化管疾患用や不整脈の検査・治療用など、幅広い診療分野でカテーテル事業を推進。国内の生産能力は公表していないが、今回の工場新設で現状の約2倍に拡大するという。 高齢化が世界的に進み、心疾患、脳疾患、がんの三大疾病の患者数が増える中、医療用カテーテルを用いた手術の需要も拡大。同社は健康・医療に関わる事業で、30年に3000億円の売り上げを目指しており、同社は「陸・海・空のアクセスが良好な苫東地域から、競争力のある製品をグローバルに提供する」と展望する。 また、新工場は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボットなどの先端技術やビッグデータを活用した「スマートファクトリー」とし、ラインを自動化した無人工場とする方針。太陽光電池を用いて工場建物の一次エネルギー消費量をゼロにする「ゼロエネルギーファクトリー」実現も計画している。 鈴木直道知事は工場新設を受けて「健康長寿産業の集積に大いに弾みがつく」と歓迎のコメントを出し、「新工場のスムーズな立ち上げに向け、人材の確保や工場設備などに関する道内企業の紹介など、全力でサポートさせていただく」としている。
苫小牧民報