電動車2650台以上提供! 「トヨタ」はなぜ、パリ五輪参加にこれほど労力を注ぐのか
多様性と持続可能性を支える貢献
欧州の中心、パリで開催される五輪に参加することで、トヨタは多くの市民や政府に好印象を与えることができるだろう。 忘れてはならないのは、五輪に合わせてパラリンピックも開催されるということだ。これは、多様性と持続可能なモビリティを推進する絶好の機会である。 欧米ではハイブリッド車の販売が好調で、2023年にはトヨタが世界で最も売れている自動車メーカーとなった。2024年3月期の純利益は前期比101.7%増の4兆9449億円と過去最高を記録した。 EUでは一部の地域を除き、行政関係者が期待したほどEV化が進んでおらず、EV政策の見直しが進められている。当初は2035年までにエンジン車の新車販売を全面禁止する方針だったが、環境に優しい合成燃料で走るエンジン車を容認する姿勢に軟化している。 このポジティブな流れを維持するため、トヨタは五輪に先駆けて投資を行っている。
トヨタのリベンジに注目
トヨタは東京五輪にも参加した。しかし、母国開催にもかかわらず苦戦を強いられた。東京2020五輪は、実際には2021年に開催された。 周知のとおり、コロナ禍で1年延期され、開催すら危ぶまれた時期もあった。日本の世論は開催の是非をめぐって二分され、トヨタ自動車は五輪関連のCMを休止したほどだ。数々の障がいがあり、難しい決断を迫られた。パリ五輪には、トヨタが東京のリベンジを果たすという意味合いもある。 東京五輪では、スケジュール変更や限られた練習環境など、オリンピアンたちは試合前の調整に苦労した。パリ五輪でリベンジを狙った選手も多いことだろう。 スポーツの祭典ということで、どうしても競技に目が行きがちだが、フィールド外ではトヨタもリベンジを狙っている。トヨタがパリ五輪のモビリティ分野で活躍を見せることができるか、注目したい。
タクヤ・ナガタ(ライター)