電脳空間に潜む新種(9月19日)
トリノアシヤドリエビ、ムジナノショクダイ。今年、国内で発表された新種だ。前者は「生きた化石」と呼ばれるエビ、後者は光合成しない植物。一体どんな生態なのか興味は尽きない▼いわき市の小名浜港では、ジャンガラコノハクラゲが見つかった。アクアマリンふくしまによると、同じグループの触手は8本なのに、こちらは4本。泳ぐために動かす傘のしぐさが、地元の伝統行事「じゃんがら念仏踊り」に似ているというから親しみが湧く▼世界は未知の生き物であふれている。地球上の生物は500万~3千万種いると推定されるが、確認されたのは175万種に過ぎないとか。誰もが発見者になり得る。一般人が投稿した会員制交流サイト(SNS)の画像が専門家の目に留まり、未確認の種だと判明するケースが相次いでいる。ダニの仲間アメロノトルスツイッターは、ツイッター(現X)を通じて存在が知られ、その媒体名にちなんで名付けられた▼珍しい動植物の情報は、研究者の世界に瞬く間に広がる。SNSを舞台にした「自然観察」も熱を帯びそう。自分もいつか、新種発見者に―。尽きないロマンを抱くあなたは、サイバークウカンユメオイビト。<2024・9・19>