【オートレース】落ち着いて予選突破の佐藤励「準決勝は勝負の時。スタートも思い切って行く」~川口SG日本選手権
2021年末にデビューして、選手としての実働タイムはまだ3年すら満たない。SG大会のエントリーも今回が7度目だ。しかし、わずかな期間で経験した数少ない大舞台で佐藤励は、あらゆる手痛いミスと切ない経験を繰り返してきた。 自身SG初出場となった23年全日本選抜では、いきなり初日に周回誤認を犯して、早々と即日退場となった。今年のオールスターでは初日、2日目と連勝を飾りながら、3日目に超痛恨のフライングに散った。お盆開催のオートレースグランプリでは3日目に落車を喫し、自らが事故の原因車となった。 まさに失敗、ミスのデパート状態だった。でも、だからこそ、今の立ち振る舞いがある。今シリーズの佐藤は、とにかく落ち着いている。毎日のように「まだまだ勝負は先にあります。今年の日本選手権は大人になるための大会なんです」と勝負機運が高まり過ぎて、浮き足だってしまうテンションの暴走を己の手綱できっちりと制御していた。 年頭だった。佐藤は「年末は必ずスーパースターに出たい。出ます。このキャリアと年齢で今すぐにでもあの雰囲気を味わってみたいんです」と高い目標を掲げた。 春を過ぎて夏を迎え、今年の暑期はやや苦しむ場面が続いた。「今年の夏は、もう人間ですね。人間が乗れていなかったというか、僕自身のリズムが良くなかったですね。肝心なところでエンジンを壊してしまったり、使えるタイヤが見つからなかったり…。エンジンもそうですが、やっぱり人間がスランプだった感じですね」 しかし、気温が下がり、秋が深まり、人もマシンもムクムクとよみがえってきた。10月の若獅子杯では久々にライバルに圧倒的なエンジンパワーの差を見せつけて、2度目の同タイトルを手にしてみせた。「やっと最近、またいい時に戻ってきた感じですね。今年が初めての日本選手権出場になりますが、ここに向けて何もかもいい準備を済ませることができました。でも、やっぱり選手権はすごいですね!みんながすご~いタイミングでスタートを攻めてきますから。自分なんて初日から18、15、12、そして13ですよぉ(苦笑い)。でも、ここで欲張って大きな失敗はできませんからね。それはこれまでのSGでよ~く学習してきました。連勝している選手たちもいますし、正直マジでくやしいです!でも、我慢するところはする。それが今のところちゃんとできて、無事に準決勝戦へ進むことができました」 そして、本当に不敵に笑いながら、目をギロッとさせながら、こう続けた。「自分は間違いなくチャンピオンになります。いつか必ずトップになります。2025年の選手権では一番強くなったところをお見せしますからね!」 ダービーのセミファイナルをクリアした先に、大目標のSSエントリーが待っている。「ここは川口ですからね。地元なので一番エンジンを合わせやすいですし、自分のロッカーは過ごしやすいです。そして、やっと死ぬ気になれます。ここまでしっかり勝ち上がれたので、もう準決勝は勝負の時です!スタートもここだけは思い切って行きます!まあ、見ていてくださいね!」(淡路 哲雄)
報知新聞社