日本女子初の2分切り

16歳の久保が800mの日本記録を更新した。写真：田中研治（THE DIGEST写真部）

　スーパー女子高生が驚愕のナショナル・レコードを樹立した。 　7月15日、東大阪大敬愛高2年生の久保凛が奈良県立橿原公苑陸上競技場で行なわれた「第1回・長距離強化記録会」の女子800mに出場し、1分59秒93の日本新記録を叩き出した。 【画像】久保凛が日本人初の2分切りで日本新記録の瞬間!! ガッツポーズも 　序盤から先頭に躍り出た久保は、そのままトップを独走した。バックストレートで一気に突き放すと、後続に影も踏ませぬ圧巻のスピードで突き進む。日本記録ペースを落とさず、フィニッシュラインを駆け抜けて記録更新を成し遂げると、競技場内の拍手喝采を独占した。競技後は自らマークした『1分59秒93』と書かれた電光掲示板の横で、笑顔のガッツポーズを見せた。 　従来の記録は2005年の杉森美保（京セラ）がマークした2分00秒45で、実に19年ぶりに塗り替えた。しかも、16歳が叩き出した日本記録はワールドクラスでもあった。久保の快記録はU18世界歴代8位にも名を連ね、今季に限れば同世界2位のタイム。さらに、U-20に広げても今季の世界4位という堂々の記録だった。 　このタイムにネット上は感嘆するばかり。「マジでか」「これはすごい」「エグ過ぎる」「信じられない」「ラップが気になる」などなど、脱帽する声が後を絶たなかった。 　久保は6月の日本選手権で初出場ながらパリ五輪2種目（1500、5000m）代表の田中希実、前回女王の池崎愛里ら実力者が揃うなか、真っ向勝負を挑み日本一に輝いた。レース後は落ち着いた表情で初優勝の喜びを嚙みしめつつも、パリ切符と高校記録を突破できず「悔しい」と口にする勝ち気な一面を見せた。来年の東京世界陸上や2028年ロス五輪出場を目指し、「大好き」だと言う800mで代表入り宣言も飛び出した。 　日本の女子陸上界初の2分台を切った久保。無限の可能性を秘めるスーパー高校生が、新たな金字塔を打ち立てた。 構成●THE DIGEST編集部