ハースF1は頭痛の種“タイヤ問題”を解決できたか? プレシーズンテストでまずは答え合わせ「データ作成に集中」と小松代表
2月21日からバーレーン・インターナショナル・サーキットで3日間にわたって開催されるプレシーズンテスト。各チームが今季実戦投入するマシンを初めて持ち寄り、開幕に向けた走行が行なわれる。 【動画】ハースF1、シルバーストンでVF-24のシェイクダウンを実施 それに向けてハースF1の小松礼雄代表は、テストでは2024年のニューマシンVF-24の総合的なパフォーマンスを追求するよりも、昨年チームを苦しめたタイヤの問題への対応に焦点を当てると明かした。 ハースの2023年マシンVF-23は、1年を通してタイヤのオーバーヒートに悩まされ、予選ペースの良さをレースで活かすことができなかった。 ハースはVF-24でこの問題を解決しようと試みており、プレシーズンテストではパフォーマンスのスイートスポットを求めて様々なセットアップを試すよりも、トラブルシューティングができたかどうかを判断したいと考えている。 「スペックによる違いを比較するというよりも、昨年の我々の問題点を見れば、日曜日に300kmの(レース)距離でタイヤをマネジメントできなかったことは明らかです」と小松代表は言う。 「なので我々はそこに集中しています」 「我々のバーレーンのテストプログラムは、エンジニアたちがマシンに何が起きているのか、タイヤに何が起きているのかを理解できるように、関連データを生成することに100%集中しています」 「質の良いデータがあれば、それをどう改善するかという結論を決めることができます。その上で、別の方向性に進むと判断できるんです」 小松代表は、ハースがライバルと比較して昨年から今年にかけて急速な進歩を遂げるとは考えていないものの、長期的な展望には自信を持っている。 「短期的な目標は、本当に少しずつ改善していくことです」と小松代表は語る。 「以前も言った通り、チームには良い素材が揃っていると思います。チームには優秀な人たちがいますが、改善していくためには、チームがひとつになることに集中しなければいけません」 「長期的に見れば、その結果はついてくるはずです。例えば、我々の最初の“中期的な”目標は、上手く機能しているマシンをアップデートすることで、それは以前もあったことですし、我々にはできると信じています」 またドライバーのケビン・マグヌッセンはVF-24に求めることとして、パフォーマンスの一貫性を挙げている。そして昨年アメリカGPでハースが投入した新パッケージが有益なステップだったことを示唆した。 「シーズン開幕時点、つまり第19戦でアップデートを受ける前のマシンはグリップも高かったし、最大グリップも良かったけど、とても不安定で一貫性がなかった」 マグヌッセンはそう振り返った。 「時にそれで苦しむこともあった」 「オーバーステアにもアンダーステアにも対応できるように、少なくともフロントは安定していると嬉しい。好き嫌いがあるわけじゃないんだけど、特に進入が遅くてマシンを回頭させてブレーキを踏み続けることに集中する必要があるコーナーでは不安定なんだ」 「オースティン以降のマシンはとてもよかった。大きな一歩ではなかったけど、正しい方向への一歩だった。今年はその方向にさらに大きな一歩を踏み出せるといいね」 そしてマグヌッセンは、2023年にチームが得た教訓が今シーズンのVF-24で結実すると考えている。 「昨年のアップデートは実験的なモノだった」とマグヌッセンは言う。 「実際前に進めたわけじゃないから、アレをアップデートとかアップグレードと呼ぶのは難しいけど、今季マシンのコンセプトに専念するという意味では、とても良い実験だった」 「このコンセプトのマシンのポテンシャルと特性をサーキットで確かめたかったし、今年はその方向に向かっている」 「一歩前進できることを願っている。今季マシンの開発に着手したのはかなり遅かったから、開発期間はかなり短かった。でも実際に、かなり上手くいっているよ」 「開幕戦バーレーンですぐに一歩前進できる保証はないと思うけど、少なくとも開発は面白くなりそうだ」
Adam Cooper
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