J2優勝“翌シーズン”にJ1優勝争いのFC町田ゼルビア。黒田監督が「たった2年でトップチームに押し上げた」2つのこと
◆ロングスロー、ファール、PK……湧き上がる非難の声にも真実は1つ
水野:伺ってきたように素晴らしいチームマネジメントをされて結果を出されているわけですが、突然の快進撃によって注目度が上がったからか、誹謗中傷されることも増えています。例えばロングスロー用のタオル問題などについて、ご自身はどうお考えでしょうか? 黒田:いろんな考え方があって当たり前だと思いますし、従来と違うやり方をすることで反発されることもある程度は仕方のないことだと捉えています。 水野:批判的な意見の一部は、ゼルビアの成績に対するジェラシーがあって過激化している側面もありそうですが。 黒田:ロングスローは私たちだけがやっているわけではありません。当初はネットで強く批判を受けましたが、今では大半のチームがやっています。 やはり試合には勝ちたいし、それが効果的だと感じたからでしょう。もちろん相手が脅威に感じるプレーであることもその一つです。応援しているチームがロングスローを導入してきたせいか、その逆風はだいぶ弱まってきたように感じます。 水野:確かにそうですね。それでもいまだに黒田さんやゼルビアの些細なことを取り上げて批判的な記事を書いているメディアもあります。 黒田:そういった記事は注目を集め、数字を稼ぎたい明確な意図があります。実際とは違う内容が書かれている記事はよく見かけますし、真実とはまったく違うことがほとんどですから。まったく迷惑な話です。 メディアは話題性を求めて、必ずしも真実でなくても興味を引くタイトルを付け、平気で内容を捻じ曲げて書きます。真実かどうかはあまり重要ではないメディアも存在します。 問題は、読者がそれを真実のように受け取ってしまうことにもあると感じています。「情報リテラシー」の有無はネット社会の大きな問題でもありますよね。
◆柴崎岳、松木玖生など育てあげた教え子たちの成長は何よりの喜び
水野:青森山田では28年という長期にわたって多くの選手を育てられました。その中で特に印象に残っている選手はいらっしゃいますか? 黒田:やはりワールドカップに出場した選手は忘れることはできません。中学1年生から見てきた柴崎選手が日本代表として活躍している姿は、本当に感慨深いものがありました。 ロシアワールドカップのときは現地にて試合観戦しましたが、なぜか涙が出ましたね。自分の元で育った選手が世界の舞台で戦っている姿を見たとき、込み上げてくるものがありました。 松木玖生のような若手選手も、これから世界で活躍してほしいですね。彼も中学生の頃から見てきました。今の時代、彼のようなハートの強い選手が出てくるのは貴重な事です。なかなか育て作れるものではありません。彼の海外挑戦もぜひ応援していきたいと思います。