米大統領選まで2週間、“ハリス崖っぷち”で「トランプトレード」が再加速【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
※本稿は、チーフグローバルストラテジスト・白木久史氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
------------------------------------- 【目次】 1.NBCショック 2.勢い増すトランプトレード 3.トランプトレードの本命 ------------------------------------- 11月5日の米大統領選挙まで2週間をきりましたが、選挙情勢が大きく動いています。というのも、ハリス候補の支持率低下が広く知られるようになってきたからです。ハネムーン期間の終了や、バイデン政権の政策が続くことが嫌気されているなど、支持率低下の背景分析は様々です。しかし、一つハッキリ言えるのは、「トランプ再選」の現実味が俄然増してきたことです。このため市場では、「トランプ再選」を織り込む動きに拍車がかかっているようです。
1.NBCショック
■米大手テレビ局NBCが10月4~8日に実施した世論調査の結果が、大きな話題になっています。というのも、ハリス候補の支持率はトランプ候補と同スコアの48%となり、前月調査の際にはあったハリス候補の5%のリードが消えてしまったからです。 ■NBCの報道には「接戦(Dead heat)」の見出しが躍りますが、この数字を「接戦」と見る米国人は少ないのではないでしょうか。なぜなら、3大ネットワークや大手新聞社など、主要メディアの世論調査におけるトランプ候補の支持率は、前回2回の大統領選期間も含め、常に過小評価されてきたからです。 〈崖っぷちに追い込まれるハリス〉 ■国民の分断が進むとされる米国では、ニューヨーク州やカリフォルニア州のように民主党が圧倒的に強い州と、共和党の牙城であるテキサス州など、州ごとに旗色(共和党なら赤、民主党なら青)が鮮明となっています。そして、大統領選の結果を決めるのは、どちらにも転びかねない激戦区の7州(アリゾナ州、ジョージア州、ミシガン州、ネバダ州、ノースカロライナ州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州)の結果次第とされています。そして、この7州での世論調査の平均値でも、足元では全てトランプ候補がリードしているようです(10月21日現在)。 ■このため、様々な賭け事を仕切るブックメーカーが見込むトランプ候補の再選確率は大きく上昇し、下落が続くハリス候補との差は約17ポイントにまで拡大しています(図表1)。