【高校サッカー選手権】山梨学院が東海大甲府の追撃を抑え、2年ぶり10回目の選手権へ
11 月9日、第103回全国高校サッカー選手権山梨予選決勝が行われ、山梨学院高等学校が39年ぶりの選手権出場を狙った東海大甲府を2-1で破り、2年ぶり10回目の選手権出場を決めた。 【フォトギャラリー】山梨学院高等学校vs 東海大甲府 「悔しくて、『出たら自分がやってやるぞ』とずっと思ってたんで、それが報われてよかったです」とは、FW20小河原瑛太。大事な一戦でスタメンを外れたその悔しさを自慢のヘディングに込め、チームを全国へ導いた。 試合は澄み渡る青空の下、東海大甲府ボールでキックオフ。立ち上がりから互いに球際の強さを発揮して、決勝戦に相応しい緊張感で進む。 先手を取ったのは山梨学院。15分、MF6根岸真が左サイドからペナルティエリアにドリブルで侵入し、中へ折り返したボールが相手のDFに当たって溢れたところをFW7オノボフランシス日華が左足で流し込んだ。 主導権を握った山梨学院はその後も積極的にゴールを狙うと、34分にはペナルティアークの手前からMF13山田琉将がミドルシュートを放ったが、これはクロスバーに跳ね返された。 対する東海大甲府も36分、相手陣内で奪ったボールをFW7水越成皇がシュートまで持ち込むが、追いつくことはできない。 しかし、エンドが変わった47分、GKからのフィードボールの流れから水越がペナルティエリア内へ縦パスを入れると、走り込んだMF10勝見周也が落ち着いて枠に収め、試合を振り出しに戻す。 これに対し、山梨学院も前線の選手を入れ替え、攻撃の活性化を図ると68分、「いつも練習してるので、ここに来るだろうと思って思いっきり飛んだらボールが来た」と途中出場の小河原が振り返る通り、右サイドのDF2鈴木琉斗からの折り返しをヘディングで合わせ、勝ち越しに成功。 再びリードを許してしまった東海大甲府だったが、73分にはCKからDF4千野耀羅が頭で合わせるがクロスバーに阻まれ追いつくことはできない。その後も怒涛の攻撃を仕掛けるものの、山梨学院も最後まで集中を切らさず守り切り、2-1で勝利を収め全国への挑戦権を手に入れた。 試合後、山梨学院・岩永将監督は「去年はあと1点が遠かった大会でしたが、今年はその1点が小河原のヘディングで生まれたのが一番の勝因だとは思います」と選手権出場を決めたことを評価しながらも、「全国大会のことを考えたら、もう1段階上げていかないといけないので、そこに向かってもう1回やっていって欲しい。今回はメンバーに入らなかった選手たち、応援に回った選手たちもこれからまた登録まで時期があるので、その時間しっかりチームで競争していって欲しい」と選手たちに、さらなる奮起を促した。 決勝ゴールの小河原は「自分のゴールでチームを勝たせることができてとても嬉しかったです」と喜びを見せると「1年生の時からチームの目標が全国優勝だったので、あと1ヶ月ちょっとしか準備期間はないんですけど、その期間しっかりやれることやって、全国優勝できるようにしっかり全国大会に向かっていきたいです」と決意を見せた。 怪我で今大会の出場が叶わず、ピッチの外から見守ったキャプテンの山田逞人は「ほんとに感謝しかないです。自分が何もできくて申し訳ない気持ちもあるんですけど、 自分のためにって勝ってくれて、点を取ってくれて感謝しかないです。もしここで負けちゃってたら、怪我(の内容)的に残りのリーグ戦も出られなかったんで、まだまだ続けさせてくれたことに感謝です」と仲間に感謝すると「まず個人としては早く怪我を治して、選手権前までに調子を取り戻したいです。チームとしてはこの1年間全国優勝ということを目標にやってきたんで、自分ができる力をちょっとでも発揮して日本一なれるように頑張りたいです」と改めて目標を口にした。 一方、惜しくもあと一歩及ばなかった東海大甲府だったが、山梨学院の分厚い攻撃に対し、粘り強く守り、流れるような攻撃から同点ゴールを見せるなど多くの人に感動を与えた戦いぶりは見事だった。 (文・写真=西山和広)