7.12大阪で再戦決定。「これが最後になるか」。2つのネガティブ要素を抱えた村田諒太の勝算は?
洒落たグレーのストライプスーツにえんじ色のネクタイで決めて会見に同席したブラントは、とても紳士的な受け答えで、自信に満ち溢れていた。 「村田にとって心強い日本のファンのサポートがある中での試合になる。前回よりも大きな挑戦だが、準備はしている。だが、村田にとっては大きなプレッシャーになる。自分の肩には、それがない。初戦と同じような試合を見せて同じような結果を残せればいい。村田は、前回よりも2倍の強さで来るだろう。村田が2倍なら、こっちは3倍、それ以上で戦わないといけない。前回よりもハイペース。集中力をもって戦う」 ブラントの戦略は変わらない。前回の試合のパンチ数を米国のメディアがカウントしたところによるとブラントは、軽量級並みの1262発ものパンチを繰り出し356発を被弾させた。そして、そのスタミナとペースは12ラウンドまで崩れることがなかったのである。 手数とフットワーク。2月に同級8位のカサン・バイサングロフを相手に初防衛戦を行い、11回にTKO勝利しているが、村田曰く「足を使っていた。僕との試合で、足を使って距離を取るボクシングをつかんだ。また同じスタイルでくると思う」という。 ただ村田の出方が変わってくることを見越してブラントは「ハイペース」という言葉を使った。 「村田がペースを上げてくればもっと集中するし密度の高い試合になるだろう。ハイペースと言っても前回より多いパンチを出すというわけではない。前回と同等、少し多いくらいのパンチでいい。数より質だ」 自信満々に言い放った。 村田は、この試合に2つのネガティブ要素を持つ。ひとつは、そのブラントのファイトスタイルにどう対応するかの戦術面である。ガードでプレッシャーをかけてパワーで押し込み一発でダメージを与えるという村田のスタイルを今さら変えるのは無理。だから「二度戦っても結果は同じだ」と、村田悲観論を論じる米国メディアもある。だが、村田には勝算がある。公式会見では「具体的なことは話したくない」と語っていたが「あの試合は、完全に僕のミス。足が動かず、上半身だけ突っ込んで、“はい殴ってくれ!”という状態で、上げたガードの上からチマチマ、パチパチと打たれた。そこから打ち返すと、もうそこにいない。でも、今回は、そういうボクシングはしないのが、勝つための手段」という。 修正点は下半身の使い方。「踏み込み」だという。村田は、野球に例えた。前回のブラント戦は、野球で言えば座った状態でボールを投げている状態だったらしい。 「下半身を作って打つことを徹底してやる」