オレンジジュース、相次ぐ販売休止 主産地のブラジルで不作 セブンはみかん果汁入りに
オレンジ果汁の世界的な品薄を背景に、国内でオレンジジュースの販売休止や値上げが相次いでいる。主要原産国であるブラジルで、天候不順による不作が続き、果汁価格が高騰していることが要因だ。円安の影響も重なり、みかん果汁を活用する動きも出始めた。 ヤクルト本社では4月以降、オレンジジュースの販売を休止した。森永乳業も4月末、果汁飲料「サンキスト 100%オレンジ」を原料がなくなり次第、販売を休止すると発表した。同社は主力商品「サンキスト 100%オレンジ」(200ミリリットル)について、6月1日の出荷分から、希望小売価格を11円増の141円とすることも発表している。 販売休止や値上げの背景にあるのが、オレンジの主産地となっているブラジルの不作だ。日本国内の果樹産業を支援する公益財団法人「中央果実協会」(東京)情報部によると、ブラジルでは20年前から長期的に生産量が減少傾向にあったなかで、かんきつ類の品質低下を招く「カンキツグリーニング病」が蔓延(まんえん)。オレンジ農家の休業や転作が増えた。さらに「特に2021年以降、ハリケーンや大雨など悪天候が重なった。輸出が多いアメリカ・フロリダでも生産量が減っている」としている。世界的な果汁不足に加え、日本では円安が重なり、ジュースの原料となる濃縮果汁価格が高騰しているという。 こうした状況に対応する新商品を出したのが、セブン&アイ・ホールディングスだ。4月にプライベートブランド「セブンプレミアム」から、みかん果汁と混合した新商品「オレンジとみかん果汁100%」を発売した。同社は「オレンジ果汁の価格が高騰しても〝果汁100%〟にこだわり、4月から国産温州みかん果汁を混ぜた新商品に切り替えている」としている。 同協会によると、「世界的なオレンジの不作続きで、濃縮果汁の在庫が減り、当分はオレンジ果汁の高値は続くのではないか」と分析する。オレンジジュースを再び気軽に飲めるまでは時間がかかりそうだ。(飯塚友子)