所蔵品31点を一堂に 滝沢さんの退館記念展 飯田市美術博物館で5月26日まで【長野県】
長野県の飯田市美術博物館の館長を18年間務めた滝沢具幸さん(82)=東京都在住=が3月末で退任する。同館では退館記念の作品展が始まった。所蔵する30点と、滝沢さんが新たに寄贈した1点を展示している。5月26日まで。 滝沢さんは下久堅村(現飯田市下久堅)出身。飯田高校卒業、東京芸術大学大学院修了。1985年に「第8回山種美術館日本画大賞展」優秀賞、2010年に「第17回MOA美術館岡田茂吉賞」絵画部門大賞などを受賞した。現在は武蔵野美術大学名誉教授。創画会を中心に意欲的な制作活動を続けている。 今展では20~60代に描いた作品を並べた。「芽生」(1965年)は滝沢さんの初入選作品。「夢中になって、考えるより先に手が動いていた」と振り返る。人物とテーブル上の静物を表現的に描いた。第9回創画会に出品した「北の森」(82年)は、シベリアの大地に広がる北方の森をイメージ。新たに寄贈したびょうぶ作品「地のものたち」(75年)は、「大作の中で一番若いときに描いた作品。地面の中にある草や木、宝石など全てを込めた」(滝沢さん)。 館長を務めた18年間は月1、2回ほど飯田へ訪れた。「来るたびにいろいろなことを知った」と振り返り「18年間で増えた(美博全体の)収蔵を生かし、多くの方に見てもらいたい」と話した。今展について「作品を見て、感じて、自分自身で創り出してほしい」と話していた。 午前9時半~午後5時(入館は同4時半まで)。月曜休館。一般310円、高校生以下無料。