「令和の米騒動」は何をもたらした?消費者は困惑も、担い手不足や農地集約で大規模化する農家にとっては“原資”に
ようやく踏み切れた設備投資
吉田さんが、格納庫にある新しいコンバインを見せてくれた。これまではコメの価格が上がらず、収支の面から二の足を踏んでいたが、ようやく新しい機械の導入を決めた。「大型機械を使った営農が当たり前になってきていて、機械に頼らざるを得ない。大事に使っていてもトラブルが発生して作業が止まるが、なかなか更新できなかった。来年から新しい機械で気持ちよく作業できるかな」と期待を込める。 人口減少や高齢化による担い手不足で、農地は集約され農業は大規模化してきた。農家にとって、大型機械の導入は欠かせない投資で、今回のコメ価格の上昇は、生産者がコメづくりを続ける一助となっている。
生産量目安が2.2%増
県やJAなどがつくる県農業再生協議会は、2025年産の主食用県産米の生産量の目安を、2024年産の目安より2.2%増やすと発表した。吉田さんは「主食用のコメを作る面積が増えるのは素直にうれしい」と話し「このまま価格も含めて安定してほしい」と期待を込めていた。 消費者にとって、主食であるコメの価格が上がることは生活に直結する深刻なことだが、後継者不足や大規模化による設備投資に頭を悩ませる農家にとっては、重要な“原資”になっている面もある。 国やJAは日本の農業のかじ取りをどう進めていくのか、注視する必要がある。
福井テレビ