松屋がアルゼンチン風ソースハンバーグ定食=チミチュリで食文化外交の輪=在住者レポート=アルゼンチンは今(19) ブエノスアイレス 相川知子
アルゼンチン大使館お墨付き
2カ月前の3月19日、松屋はアルゼンチンの味を期間限定で提供することを発表した。この決定の前日には、松屋の経営陣がアルゼンチン大使館を公式訪問している。 5月21日の松屋のXではアルゼンチン大使館の外交官が来店し、喜んでいると報告があった。フォロワーからのコメントも多く、「大使様ではなく大使閣下では」「いや、これは親しい間の呼び名で、公式ではない」「お箸の使い方がお上手だ」と特にテンポーネ大使の好感度が上がっている。
チミチュリソースの起源
3月の発売時にアルゼンチンの日系メディア、アルテルナティバニッケイで報じられた(https://alternativanikkei.com/matsuya-una-cadena-gastronomica-japonesa-lanzo-un-sabor-argentino/) チミチュリソースの起源について、一般的には、19世紀初頭アルゼンチンの独立のために戦ったアイルランド出身ジミー・クリーが肉料理を食べる際、辛いソースを常に注文していたことから、その要望を元に定番化されたという説がある。 しかし、別の説では、このソースの名前が先住民のグァラニー語で「パプリカや唐辛子などのスパイスを混ぜる」という意味であることが説明されている。このことから、実は松屋のチミチュリは原点回帰的な起源を持っているのではないか、という想像を掻き立てられる。 現地にはない、むしろ現地では食べられないアルゼンチンの味は、アルテルナティバニッケイの読者からは特に目くじら立てる人はなく、逆に日本に行ったらぜひ食べてみたいというのが大方の感想であった。 願わくば、今後 機会があればアルゼンチンの農産物を原料を使い、日本の食環境にあったアルゼンチンの味を作って提供してくだされば、お互いにさらなる実りのある関係になるのではないだろうか。このような食と文化の交流は平和の象徴である。多様な文化とお互いの差異の間を自由に行き交うことのできる、平和な国際交流の輪がますます広がることを願ってやまない。 (ブエノスアイレス 5月22日 相川知子)