「何コイツ? そんな目で見られた」スケボーからバス釣りへ、カルチャーを渡り歩いて気がついたこと。
人生の分岐点。スケボーかバス釣りか
最初バス釣りをやったのは、小学生の時のミニバスの先輩の影響でしたね。仲間のミニバス連中は全員バス釣ってました。 それで、お父さんが僕に影響されてバス釣りにハマり、まとめ買いしてきたビデオの中に金森さんの『岸道』があったんです。それが衝撃で、小中はずっとバス釣りをやってました。 そこから高校に入るってなって受験後に時間ができたんですけど、冬だったこともあってスケボーをやってみたんです。そしたらめっちゃハマって、パーク(舗装された専用施設)でバイトしたり業界にも関わったりして、こっち(スケボー)の世界で働くのもありかなって。それで高3の時は就職活動もせず、とにかくうまくなろうと。性格的にひとりだと伸びないので、大阪か東京に行って揉まれてみようかって思ってた時にお父さんの知り合いでもあるレイドのある方から誘われたんです。 言うまでもなくあのレイドだし、金森さんはずっと憧れで、スケボーしながらもDVDが出たら必ず見てたんで、ここはお世話になってみようかなと。正直、ヘンな話、スケボーのほうが業界のこともある程度は分かってたし、プロ資格を取ってスポンサードを受けて試合に出てって、将来の見通しも見えてたんですけど、なんででしょう? バス釣りの業界のことはほぼ分からず。でもその人の話がうまくて(笑)、そして一方で、金森さんっていうすごい背中を見せてくれる人がいる。ま、人生ベットしたくなったんですかね(笑)
勝った瞬間に、オレのいままでってこれに掛けてきたんだって
それからいままでやってきて、自分が目指すバスプロの理想はトーナメンターではない、となると自分を上げていくためには陸王に勝ちたいなと思うようになりました。ただU-30に勝つまでは、別のやり方もあるかなとか考えてた部分もあったんですけど、勝った瞬間に、オレのいままでってこれに掛けてきたんだって、これしかないって初めて思いました。というのも、いままで自分の力で掴み取った物ってなかったんです。 普通は頑張って努力してメーカーに売り込むのがやり方ですけど、僕はある意味別のルートだったんで。もちろんバス釣りは好きですけど、スケボーもあった。スタートの時点で熱量が違ったんですよね。それが初めて勝ちたいと思って、U-30で自分の技量や熱量が結果になった。いままで自分がどれだけ応援とか期待されてたとか分かったし、その気持ちを返せたことが嬉しかったんです。それで、あぁこれで生きていきたいなって。 この前陸王モバイルでゆいぴー(青木唯)と対戦して、その後一緒に飯食ったんですけど、そこでゆいぴーに、なんでそんなに河口湖で勝てるの? って聞いたんですよ。そしたら、「生活が懸かってるって、思いが違うんじゃないですか」と。それが言えるってプロですよね。後ろに下がれない状態を作ってそこで勝負する。単純にすごいし強いよなって。これが2年前なら『へ~』で終わってると思うんですけど(笑)、僕もいまは別に仕事をしてるんでその立ち位置までいけてない。でもそうなった時にトーナメントのような分かりやすい目的がないなって。だからこそ陸王で勝つことがモチベーションになりました。