F1分析|開幕戦バーレーンGP FP2ロングランを検証。レッドブルのロングランベースはやはり驚異的……2番手集団は大混戦か?
■2番手集団は大混戦
このレッドブルに続いて優れたロングランを記録したのが、マクラーレンのランド・ノリスである。絶対的なペースこそレッドブルには及ばなかったが、これは燃料搭載量の差である可能性もある。一方でデグラデーションを見てみると、1周あたり0.044秒。フェルスタッペンには差を付けられているものの、それでもタイヤの扱いには優れたマシンになっているようだ。 なおチームメイトのオスカー・ピアストリは、ノリスと比べるとデグラデーションが少し大きい印象である。 このマクラーレンに匹敵しそうなのが、フェラーリ勢である。カルロス・サインツJr.のデグラデーションは0.050秒/周であり、こちらもかなり良好。昨年までのフェラーリは、デグラデーションが大きいという特性が決勝レースを戦う上で足枷となっていたが、これは解消されているかもしれない。 ただ、チームメイトのシャルル・ルクレールは1周あたりのデグラデーションが0.1秒以上であること、そしてサインツJr.もロングラン最終周の前に遅いラップを入れてタイヤを冷やしているように見え、その結果として前述の良好なデグラデーション値になっていることを考えると、若干疑問があるのも確かだ。ちなみにクールダウンする前のペースだけでデグラデーション値を算出すると、0.129秒/周に跳ね上がってしまう。 それを考えると、メルセデスの方がロングランは安定している可能性がある。ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルのふたりは、いずれも1周あたり0.1秒以内のデグラデーション値であり、まずまずというところ。ハミルトンはセッション後「ロングランのペースではレッドブルには及ばない」と語っているものの、マクラーレンやフェラーリと同じようなポジションにいるのは間違いないだろう。
■角田裕毅のRB、ライバルはアストンマーティンか?
昨年大躍進を遂げたアストンマーティンは、現時点では上位4チームと比べるとデグラデーションが若干大きいという印象で、表彰台を争う位置にはいないように思われる。 このアストンマーティンに続くのがRB。ダニエル・リカルドは、走り始めから6周程度は安定したペースで走ったが、その後一気にペースが下落。そのペースが落ちたところで再び安定したペースで走ることになった。 角田裕毅のロングランはデグラデーションが非常に大きく、0.171秒/周という値。このままでは入賞を争うのは厳しそうである。ただ角田はセッション後のコメントで「予選までに状況を好転させることができる」と語っており、それに期待したいところだ。 今季から小松礼雄がチーム代表に就任したハース勢は、1発の速さはありそうだが、デグラデーションが大きそう。ただキック・ザウバーやウイリアムズも同等のように見えるため、昨年よりは良いポジションにいるかもしれない。 アルピーヌはデグラデーション値こそ比較的小さく、特にピエール・ガスリーは安定したペースで走った。しかしベースとなるペースはかなり遅いというのが気になるところ。かなり燃料を搭載していたということであれば問題ないが、他車と同レベルの燃料搭載量ならば心配だ。
田中健一