日本にたった1台しかない!? 専用スカニアシャシーを採用するドイツの橋梁点検車に迫る!
アウトリガを張らない独自の機構で交通渋滞を緩和
ベース車両は専用設計のスカニアP450 8×4総輪エアサスシャシーで、後前軸上部に鉄製ローラー、ホイールベース間に「スタビライザ」と呼ばれる補助輪を搭載。 作業時(ブーム展開時)は、エアサスを下げて鉄製ローラーでタイヤを地面に押さえ付けると同時に、スタビライザを接地させて車体の傾きを抑制し、車両の安定性を確保する。 国産の橋梁点検車は車両の安定性を確保するため、作業時にアウトリガを張る必要があるが、モグ社の橋梁点検車はこの仕組みによりアウトリガが不要なので、路肩に車両を限界まで寄せて作業でき、車線規制が少なく済み、作業時の交通渋滞の緩和などが期待できる。 荷台部分に搭載する上モノは、メイン旋回台、第1ブーム、サブ旋回台、第2ブーム、第3ブーム、バスケットなどで構成。ブームは、定番のコの字型をはじめ、上方向や下方向にも伸ばすことが可能で、伸ばした状態での旋回や、前進/後進しながらの旋回も可能だ。 作業中の前進/後進は油圧駆動式(動力源はシャシーのPTO)の鉄製ローラーでタイヤを回転させて行ない、操作はキャブ内またはバスケット内の操作レバーで行なうことが可能。ブームの操作はバスケットからのみ行なうことができる。 バスケットは2.5mの上昇機構が備わり、中央分離帯の裏側など奥まった箇所も作業可能。こうしたかゆいところに手が届くのも、モグ社の橋梁点検車の人気の秘密という。 なお、同車両は現在、日本に1台しか存在しないが、阪東自動車工業では複数のバックオーダーを抱えており、順次納車を予定しているという。今後のさらなる活躍に注目だ。 ■MBL-1750Nの主なスペック ●輸送時 車両総重量:32トン(車両重量緩和車両) 車両全長:11.9m 車両全幅:2.5m 車両全高:3.79m ●作業時(左側展開時) 最大差込長(バスケットを水平に伸ばせる長さ):17.5m 最大深長(バスケットを下に伸ばせる長さ):22.3m 最大高長(バスケットを上に伸ばせる長さ):21.6m 最大歩道超幅(対応する歩道の幅):5.2m 最大防音壁超高(対応する防音壁の高さ):4.7m バスケット許容最大荷重280kg(差込長15m以上は200kg) 旋回角度:T1旋回台220度/T2旋回台180度 使用可能最大風速:12.5m/s 使用可能最大縦横断勾配:6%(3.4度)